沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2022年9月16日号) *反中メディア大紀元を支持せよ!

2022-09-16 15:13:02 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年9月16日号)
*反中メディア大紀元を支持せよ!
 14日、大紀元に「攻撃型無人機、自衛隊が導入急ぐ理由…ゲームチェンジャーとなりうる2つの優位性」という記事が掲載された。この記事は大紀元の記者であるWenliang Wang氏が私にインタビューして書いたものである。
 自衛隊が攻撃型無人機数百機を配備する方針を固めたことについて、攻撃型無人機の従来型兵器にはない利点を解説した記事だが、購読会員限定となっているから、詳細は購読会員になって読んでいただく他ない。

 大紀元はニューヨークに本社を置く中国系の世界的メディアだが、中国共産党に批判的な論調で知られている。中国系メディアとしては、世界的に最も信頼のおけるメディアだと言っていいだろう。
 当然、中国共産党から激しい弾圧を受けており、世界的にネットワークを拡げて弾圧に抵抗して、中国関連の真実の情報を発信し続けている。購読会員の拡大を狙うのも、そのためであろう。
 攻撃型無人機、自衛隊が導入急ぐ理由…ゲームチェンジャーとなりうる2つの優位性 | 極超音速ミサイル | 防衛省 | 防空システム | 大紀元 エポックタイムズ (epochtimes.jp)
 上記をクリックしても反応しない場合は、下記の公式ブログからお入りください。



ウクライナ戦争の隙を突いたアゼルバイジャン    アルメニア軍が窮地。そして次はコソボではないか?

2022-09-16 15:04:16 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)9月16日(金曜日)
        通巻第7465号 
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 ウクライナ戦争の隙を突いたアゼルバイジャン
   アルメニア軍が窮地。そして次はコソボではないか?
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 9月13日、ナゴルノカラバフの停戦ラインを超えて、アゼルバイジャン軍が発砲し、アルメニア軍兵士59名が死亡した。ロシア軍は「停戦監視団」を置いているが、ウクライナ戦争で、手薄になった隙を突かれた格好だ。

 他方、アゼルバイジャン国防省は、アルメニア軍が「停戦に違反し、迫撃砲と大砲でケルバハルとラチン近くのアゼルバイジャン陣地を砲撃した」と発表した。
 トルコの報道に拠れば、双方で百名前後の死者かでたとしている。

 2020年の戦闘ではイスラム圏からの武器輸入によって軍事力を増強させていたアゼルバイジャンが「アルメニアに奪われた聖域」を恢復し、ロシアが停戦に介入して暫時の均衡状態があった。ロシアとしてはアルメニアが東方正教会であり、防衛同盟の紐帯のために軍事的に介入したのも当然の帰結だった。

 その後、EUが交渉に乗り出し、以後の平和の回復を図ろうとしたが、「ブリュッセル合意」は事実上無効になった。

 この春にブリュッセルで開催の、EUが仲介した交渉ではアゼルバイジャンのイルハム・アリエフとアルメニアのニコル・パシニャンが会談し、ともかく「議論を進める」という条項のみ合意した。

 EU、米国、ロシア、イラン、そしてトルコ紛争の拡大に懸念を表明し、戦闘行為の即時終結を求めたものの、ロシアの「平和維持軍」が、ウクライナ戦争で削減された情報があり、ロシアの衰退を目撃したアゼルバイジャンが一気に攻勢に出た。

 拙著『ウクライナ危機後に、中国とロシアは破局を迎える』(宝島社)のなかでも、この事態を予測したが、次はコソボだろう。

セルビアは中国から空輸した兵器で軍事力を充実させており、ロシアの支援がなくとも、NATOが介入してこないと判断すれば、アルバニアに奪われたコソボの恢復に挑む可能性が高い。

★安倍元総理の本質 北野幸伯

2022-09-16 15:02:51 | 日記
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★安倍元総理の本質
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        北野幸伯

安倍元総理の国葬について、「反対」の人が多いそうです。「文春オンラ イン」が7月30日から8月7日までに行った調査では、

「賛成」が499人(16.7%)
「反対」が2375人(79.7%)
「どちらともいえない」が107人(3.6%)

なんと約8割が「国葬反対」。
朝日新聞が9月10日、11日に行った調査によると、
国葬賛成は38%、反対は56%でした。

こちらは、文春オンラインより反対派が少ないです。
どうして反対派が多いのでしょうか?
一番大きいのは、最近の「統一教会つながり報道」でしょ
うか。その前を見ると、「桜を見る会」とか「モリカケ問題」とか、いろ いろ騒がれていました。

リベラルな人たちは、安倍元総理が「靖国参拝」したこと
や、憲法改正に熱心だったこと、集団的自衛権を行使でき
るようにしたことなどを批判します。さらに保守陣営でも、安倍政権が消 費税を二回引き上げたことで、幻滅した人がかなりいました。

では、私自身はどうでしょうか?

私は、安倍さんが総理大臣だったころ、モスクワに住んで
いました。それで、私の視点は、「外国人と変わらない視点」だろうと思 います。では、外国人から見る安倍総理は、どうだったのでしょうか?
これは間違いなく、

【日本史上もっとも偉大な政治家だった 】です。

そのことは、安倍元総理が亡くなったときのリアクション
を見ればわかります。

・トランプ、アメリカ前大統領「世界のとてつもない損失だ」(容疑者に ついて)「地球から偉大な存在を奪ったことに迅速かつ重い代償を払うこ とを望む」

・蔡英文、台湾総統
「言葉にならないほどのショックを受けています。台湾に実に多くのご支 援とご配慮をくださいました。私たちはこのことを決して忘れません」

・オーストラリア、 アルバニージー首相
「日本は真の愛国者と真のリーダーを失った。
また、オーストラリアは“真の友人”を失った」

・エリザベス英女王
「深く悲しんでいます。2016年に安倍ご夫妻とお会いした時のことを懐か しく思い出します」

・カナダ、トルドー首相
「安倍晋三氏の暗殺は信じられないほど衝撃的で、深く悲しんでいる。世 界は志ある偉大な人物を失った。カナダは親しい友人を失った」「友よ、 あなたがいなくなると寂しくなる」

・バイデン米大統領
「彼の妻と家族、日本の人々にとってだけでなく、世
界にとっての損失だ。平和と決断力の男である彼は、皆に惜しまれるだろう」

・オバマ米元大統領
「友人であり、長年のパートナーだった安倍氏が暗殺され
、衝撃と悲しみを感じている」「日米同盟を強化するための我々の活動や 感動的な経験を、ずっと心に留めている」

・インド、モディ首相
「親愛なる友人が悲惨な死を遂げ、言葉にできないほどシ
ョックを受け、悲しい。今日はインド全体が日本とともに彼の死を悼んで いる」

・ダライ・ラマ14世
「私たちの豊かな仏教の文化遺産とアイデンティティを守
るための支援に非常に感謝しています」「安倍氏は、他者のために奉仕す る、本当に意義深い人生を送りました」

・マクロン仏大統領
「フランス国民の名において、日本政府並びに日本国民に
哀悼の意を表します。国に生涯を捧げ、世界の均衡に努めた偉大な首相を 日本は失いました」

・プーチン、ロシア大統領
「犯罪者の手は、長い間、日本政府を率いて、両国間の良
好な隣人関係を発展させるために多くのことをした優秀な
政治家の人生を断ち切った」「シンゾウとは定期的に連絡を取り合い、彼 の優れた資質は十分に発揮されていた。
この素晴らしい人物のよき思い出は彼を知るすべての人の
心に永遠に残るだろう」

・ニュージーランド、アーダーン首相
「日本の安倍晋三元総理が集会で銃撃された後に死亡した
というニュースを見て、本当にショックを受けています」
「彼は常に集中していて思慮深く、また、寛大でした。
最初の二国間会談の後、公式写真の撮影を待っていた際、
安倍元総理が、私の猫が死んだことを『残念に思う』と言
ってくれたことを覚えています」「日本の総理大臣を最も長く務めた安倍 元総理、その喪失感を多くの人々が深く感じることでしょう」

・メルケル、ドイツ前首相
「かつての長年の同僚である安倍晋三氏に対する恐ろしい
暗殺計画の知らせに接し、非常に驚愕しています。私たちは緊密にお互い に信頼を寄せて協力し合ってきました。私は安倍氏と一緒に仕事をするの が楽しみでした。私の気持ちは安倍氏、安倍夫人、そして彼の家族と共に あります」


どうでしょうか?

世界のリーダーたちが、安倍さんの死に衝撃を受け、悲し
みました。外国のリーダーたちは、国葬に反対している日本人とは違う視 点で安倍さんのことを見ていたことになります。一体、なぜ安倍さんは、 外国で「偉大だった!」と絶賛されているのでしょうか?

安倍総理が偉大である三つの理由を挙げましょう。


1、中国の【 反日統一共同戦線戦略 】を無力化した

2012年11月、中国は、ロシアと韓国に「【反日統一共同
戦線】を創ろう!」と提案しました。

中国の提案は、

・中ロ韓で、「反日統一共同戦線」を創ろう!
・中ロ韓で、日本の領土要求を断念させよう
・断念させる領土とは、北方領土、竹島、尖閣と【沖縄】
である
・日本、【沖縄の領有権はない】!!!
・反日統一共同戦線には、【アメリカ】も引き入れる


これを見て、【トンデモ陰謀論きた~~~~~!!!】
と思われた方は、こちらの証拠を熟読してください。

https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf


私は当時、「日中戦争がはじまった!」と嘆きました。
ところが、2012年12月に安倍さんが総理に返り咲き、そ
れから3年かけて、中国の戦略を無力化することに成功したのです。

どういうことでしょうか?
ざっくりお話しします。

中国の戦略は、「日米」「日ロ」「日韓」関係をぶちこわ
すことで「反日包囲網」を築き、日本を破滅させることで
した。そこで安倍さんは、「日米」「日ロ」「日韓」関係を良好にするこ とで、中国の戦略を無力化したのです。

裏事情を知る人にとって、
安倍元総理は、まさに【日本を救った人】だったのです。

後二つ、ざっくりと。
安倍総理、実をいうと【歴史に名が残る世界的戦略家】で
す。
なぜ?
今、日本、アメリカ、欧州、インド、オーストラリアなど
は、共通の「対中大戦略」をもっています。そう、「自由で開かれたイン ド太平洋戦略」です。この戦略を考え出したのが、安倍元総理なのです。

皆さん、考えてみてください。
「日本の総理大臣が考えた大戦略が、西側諸国全体の共通
戦略になっている」これは、すごいことではないですか?
少なくとも「歴史上はじめて」であることは間違いありま
せん。

もう一つ。


安倍元総理は、【真の自立外交】を成し遂げました。
これをいうと、必ず、「何をいいやがる。安倍さんは、トランプのポチ だっただろ!」と反論がきます。
いえいえ。安倍さんは、トランプのポチではありません。


トランプはTPPから離脱しました。安倍さんは、TPPを推進しつづけました。

トランプはパリ協定から離脱しました。
安倍さんは、パリ協定を支持しつづけました。

トランプはWHOから離脱する方針でした。
安倍さんは、WHOを支持しつづけました。

トランプは、「エルサレムはイスラエルの首都」と認定し
ました。
安倍さんは、この決定に反対しました。

トランプは、イラン核合意から離脱しました。
安倍さんは、イラン核合意を支持しつづけました。

どうですか?

安倍さんは、トランプの重要な決定にほとんど反対してい
ます。これでも「安倍さんはトランプのポチ」といえるでしょうか?

実際は、「これほどアメリカ大統領のいうことを聞かない
日本の首相はいなかった」といえるのです。

さらにすごいのは。
安倍さんは、トランプのいうことを全然聞かず、
なおかつ【トランプの親友だった】ということ。
これは、本当にすごいことです。

アメリカに逆らった総理は、他にもいました。
田中総理、細川総理、鳩山総理など。
いずれも短期間で失脚しています。

安倍さんは、自立外交をしてアメリカに逆らい、なおかつ
オバマ、トランプの親友で、史上最長政権を実現したので
す。真に偉大な人物だったといえるでしょう。

というわけで、私は国葬に賛成です。
ですが、国葬に反対の人の意見も理解できます。
とはいえ、「安倍元総理の功績が知られていないのではな
いか」と思い、メルマガを出させていただきました。


「有事対応」、全くお粗末な現実  櫻井よしこ

2022-09-16 15:00:11 | 日記
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「有事対応」、全くお粗末な現実 
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             櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第1013号

中国人民解放軍(PLA)は8月30日から9月5日まで、ロシア軍との合同 軍事演習をロシア極東地域で行うと発表した。このことですぐに思い出す のが今年5月24日、中露両軍が展開した13時間にもわたる合同軍事飛行だ。

それは東京で日米豪印(QUAD)首脳会談が行われている最中に決行さ れた。前日には岸田文雄首相とバイデン大統領が首脳会談を行い、東シナ 海や南シナ海における中国の力による現状変更に強く反対し、台湾海峡の 平和と安定を重視するとして警告を発した。

日米両国が中国に対する厳しい共同声明を発表したタイミングで、中露両 軍は最新鋭の戦略爆撃機計6機を日本海、東シナ海、西太平洋上で13時間 も共同飛行させた。彼らが初めて日本周辺を共同飛行したのは2019年7月 だ。以来20年12月、21年11月と続き、今回は4回目だった。元空将の織田 邦男氏が解説した。

「中露は、日本や米国にQUADの動きを許さないぞ、と警告しているの です。昨年10月、中露が軍艦10隻で日本列島をほぼ一周したときと同じ で、力を誇示して政治的に脅迫するのです。軍事演習は繰り返すことに意 味があります。反復によって連携の練度が上がります。8月末からの合同 演習で彼らの作戦はさらに相互運用性が高まると思います」

中露による8月末からの演習は、22日からの米韓合同演習「乙支(ウルチ) フリーダムシールド」(自由の盾演習)への牽制でもあろう。日本が注目 すべき点は中露の演習に北朝鮮が参加するか否かだと、織田氏は言う。

「1990年以降、中国は戦闘機や潜水艦をロシアから大量に輸入し始めまし た。ロシアは中国への最大の武器装備供給国です。中露の演習に北朝鮮が 参加するような事態は日本の悪夢です。中露の軍事行動に合わせて北朝鮮 が弾道ミサイルを発射する。これこそわが国が最も懸念する三正面事態です」

沖縄県は福建省と友好都市

日本を取り巻く軍事的危機は本当に厳しい。そのことを岸田首相は認識し ているのか。8月4日、中国は米下院議長のナンシー・ペロシ氏の台湾訪問 への報復として、台湾を取り囲む六つの海域で激しい軍事演習を行った。 その烈しさと規模は、専門家が台湾侵攻の予行演習だと見做したほどだ。 その中で中国軍はわが国の排他的経済水域(EEZ)にミサイル5発を撃 ち込んだ。にも拘わらず、岸田首相自身はその日、抗議もせず、国家安全 保障会議も開かなかった。

ミサイルが撃ち込まれたのはわが国最西端の与那国島からわずか80キロほ どの海域だった。この種の攻撃を受ければ、紛争や戦争が起きてもおかし くない。だが岸田首相が中国のミサイル攻撃に抗議する会見を開いたのは 一夜明けてペロシ氏と会談してからだった。中国は日本与(くみ)し易し と、さぞ侮っていることだろう。こんな油断と無関心さを見せてはならな い。中国に誤解させてはならないのだ。つけこまれること必定である。

だが、ご本人にはそんな批判は届いていないのであろう。8月10日の内閣 改造で岸田氏は語っている。「有事に対応する政策断行内閣」だと。強い 言葉を使っているが、足下を見ると全く対策などとられていない。与那国 町の住民は約1600人、町長の糸数健一氏は有事対応とは住民を島外に避難 させることだと強調する。

「国は国民保護法でさまざまな状況を想定しています。住民に避難を指示 できるのは、武力攻撃事態が認定されてからで、軍事侵攻が始まる段階で す。それでは遅すぎます。切羽詰まった状況下で住民に避難を指示できる といっても、島には地下壕もありません。住民を島に残しておくことは危 険すぎます。どうすればよいのか。県にも国にも解決策を求めましたが回 答はありません」

8月19日の金曜日、玉城デニー沖縄県知事は知事選を前に与那国島を訪れ た。そこで糸数氏は「台湾有事は日本有事、沖縄有事だ。住民を危機の中 でどう守るべきか、県に問い合わせても回答が得られない」と訴えた。す ると玉城知事はこう言ったという。

「この件は世界中のウチナンチュー(沖縄人)に呼びかけて、どの国とも 仲よくするのが大事だ」

答えになっていない。糸数氏はさらに訴えた。

「台湾の花蓮市と与那国は姉妹都市で今年は提携40年目だ。あらゆる意味 で日台交流に協力したい」

すると玉城氏は「沖縄県は福建省と友好都市だ」と回答したという。

「中国によって沖縄、とりわけ与那国をはじめとする小さな島々が危機に 直面していることへの理解がないのです。こんな状況ですからいざという とき、1600人をどう守るか、国に問い合わせると、県を通してくれと言 う。与那国は現実の危機に直面しているのです。そのことを分かってほしい」

糸数氏の訴えはもっともだ。

町民避難のための基金

住民保護は地方自治体が主導して具体策をつくらなければならない。県も 国も頼れない状況下、与那国町がいまできることは何なのか。糸数氏は有 事の際、島民の集合場所3か所はこれまでの防災訓練等で決まっていると いう。しかしそこから先は全て未定である。

「あくまでも仮定の話ですが、大型機の離着陸が可能な長い滑走路をもつ 下地島に住民を避難させるとして、現在の定期便では一度に50人を運べま す。島民全員の避難には30回以上飛んでもらわないといけません。しかも それは極めて短時間にやり遂げないとならない」

そんなことは可能なのかと糸数氏は自問する。住民の島外避難と入れ替え に自衛隊が島に入ることも必要だろう。しかし、それこそ国の決定事項 で、与那国町は関与できない。住民避難の課題さえ県とも国ともまともな 話し合いができていない段階で、町長の悩みは深い。これが日本の実態な のである。糸数氏はいま、町民避難のための基金の設立さえ考えていると いう。

「有事の際、島民をまとめてどこかに避難させる目途がつかない以上、町 長としては、危険が迫ったら早めに家族や親戚のいる所に一時的に身を寄 せて下さいと言うしかない。そのために飛行機代や当座の出費として一人 100万円支給すれば何とかなるのではないか。1600人で16億円、そのよう な基金も用意して、とにかく住民を守らなければと考え始めています」

台湾からわずか111キロ、与那国島は台湾有事の際、恐らく最も危険な島 のひとつになる。その島で町長がこんな悩みを抱えているのだ。中露の力 による現状変更は止まらない。台湾有事の危険性も高まる一方だ。「有事 に対応する政策断行内閣」と宣言した岸田氏よ、首相として有事対応の本 気度を見せよ。      



ヘリティジ財団報告書。「これからの中国とのつきあい方」   一方的に中国を封じ込める必要はないとトランプ流儀

2022-09-16 09:43:52 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)9月15日(木曜日)弐
        通巻第7464号 
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 ヘリティジ財団報告書。「これからの中国とのつきあい方」
  一方的に中国を封じ込める必要はないとトランプ流儀
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共和党保守陣営を代表するシンクタンク「ヘリティジ財団」がさきごろ、『今後の中国対応の青写真』を纏めた。

「米国が今後数十年にわたって直面する永続的で重要課題は、中国の台頭である。世界史の主要なプレーヤーとして台頭した中国に対して、米国は長期的利益を保護する一方で、中国への毅然たる態度を維持する必要がある。米国は、経済的および政治的自由の原則を堅持し、独自的な強みに依存する。それらは強力な世界的存在感と同盟国とのパートナーシップ、経済的関与、軍事力のプレセンスなどを通じて実行される」と基本的スタンスを明示している。

 もはや保守陣営の分析でも、アメリカが世界の警察官であるという認識が稀釈していることに留意しておくべきだろう。

またポンペオ前国務長官の演説にあったように「中国の人々が問題ではなく、人々を抑圧し、世界の幸福を脅かす共産主義の独裁政権が問題」として、敵を中国共産党に絞り込んでいる。この主張は中国人民を敵とは認定せず、意図的に独裁政党と峻別、中国人に心理的な亀裂をうませることを考えているからだろう。

 「中国の脅威は表面的な軍事行動ばかりか、米国政府のサイバー ネットワークに対する攻撃、米国企業の知的財産を盗み、公海を航行する船舶や航空機の自由な移動を脅かす行為にあり、中国は米国の同盟国やパートナーの安全を侵害し、民主的なプロセスに干渉している」というあたりは月並みな表現で、ペンタゴン報告や議会報告書にも書かれている。

ヘリティジ財団の報告が異色なのは中国の文化と法治意識、その政治システムにおける西側との異質性を強調しているポイントにある。
 すなわち「米国は、中国の意思決定に影響を与える歴史と文化を理解する必要がある」とし、「中国は大陸性の大国であり、天然資源と人的資源を備え、そのうえ中国は世界で最も経済的に活気のあるアジア太平洋地域に位置し、世界経済の新たな中心にあり、グローバル・バリューチェーンの重要な位置にあることが長期的に安全保障上の問題である」とする。


 ▲米国一国だけで中国に対抗するのは難しい

 そのうえで米国一国での目的達成はもはや不可能であり、また単純に「中国封じ込め」を意味しない。米国の強みには、自由市場経済モデル、強力な軍事力へのコミットメント、必要な場合、武力行使する意思、安全保障同盟のシステム、政治的自由へのコミットメントにあるとする。

 さて同報告書は「中国を理解するには、三つの重要な観点があり、(1) 中国の政治文化と統治の歴史。(2) 中国が脅威を認識し、反応する方法とパターン。(3)中国が主要な地理的関心領域であるインド太平洋における他民族との関係の歴史」を挙げている。
 今日の中国の権力の政治的性格は、歴史、イデオロギー、5000 年にわたって国を統治してきた制度の産物であり、中国共産党の前の世代から現在の中国の指導者が受け継いだイデオロギーと遺産は普遍であるとする。
「法の支配」の欠如。中国の歴史の中で、強力で独立した司法システムは存在しなかった。これが中国史と西洋史の特質を別け、とくに文化を区別する。だから人権を理解できない。

中国における「法」とは独立機関ではなく、権力構造を維持する手段でしかない。したがって法律は統治の手段として機能したが、中国共産党を制約するものではなかった。国際関係でもルールを守ると言いながら遵守した例がない。
 過日のウィグルにおける人権侵害、ジェノサイドという国連報告に関して中国外務省の反論(9月1日)は次であった。「OHCHR(国連高等弁務官事務所)が発表した報告者は、反中勢力の政治的陰謀に基づく杜撰な報告であり、内容は完全に虚偽情報のごった混ぜだ」

 法の番人である最高検察長に新たに任命されたのは応勇(前湖北省書記)である。習近平側近として、もっと出世するべきが、閑職に追いやられたのは一族の腐敗が絶えないという悪評の所為だ。それはともかく法律とまったく無関係なのである。
 習のイエスマンが最高検察長とは、これいかに、だろう。

 中国は、国際空間に中国の権限を拡大することが国際法と矛盾するとは考えていない。他人が図々しいと思っても、まるで気にしない。そういう神経を持ち合わせてはいない。国際法は存在しても、中国としては便宜的であれば活用するという政治戦争の一部と見なしている。
このヘリティジ財団報告が指摘するようにフィリピンがスカボロウ礁は自国領と訴え、ハーグ国際裁判所が『中国の言い分には根拠がない』と裁断したおりも、中国は「あれは紙屑だ」と言ってのけた。

 さてバイデン政権はトランプの対中制裁路線を引き継いではいるが、運用面で遅れも目立つ。米議会は8月9日に次世代半導体開発の支援と大規模な補助を目的の法律を可決し、バイデンが署名を済ませた。

 現在、上下両院で議事をすりあわせているのは、もっと強硬な「中国対抗法」だ。ところがこの法案可決が円滑化しないのは中国からの妨害ではなく、米国実業界が、あまり規制を強化するとビジネスが失われることへの懸念が広がっているからだ。


 ▲なぜ十数万人の香港人は海外へ逃避したのか

 中国対抗法の眼目は投資審査制度で「米企業がロシアや中国など安全保障上に深刻な懸念のある国への投資には事前の審査が必要で、そうした制度の厳格化をはかるものである。大學や研究機関が中国から寄付金を受けとることも厳しく監視される。
 また同報告者は「中国が政治権力の範囲外で別個の「市民社会」を発展させたことがない」と指摘している。

 四つの近代化、白黒猫論、先富論をひっさげて現実主義の?小平が台頭すると、中国共産党のイデオロギーの役割は、プラグマティズムを前に低下したと見え一時期があった。このため、経済が豊になれば中国は自由化するという幻想に酔った西側の楽観主義者は、中国は市民参加の新たなシステムを中国が構築する義務があるとしてきた。

 ところが、香港では逆に言論、結社の自由は殺され、市民生活のおける自由はなにひとつ達成されないばかりか、ネット上の意見も監視された。
政治的に自由は発言もできなくなり、多くの民主活動家が裁判となって、香港人のおよそ十数万人が海外へ移住した。

 中国の言論統制は時代錯誤的に暗黒時代へ戻った。経済、政治、環境、宗教の分野を問わず、中国共産党の監視を免除される団体はない。
 そのうえ中国共産党は金利、為替、通貨供給など経済をコントロールする最終的な権限を保持している。甚だしい時代錯誤だが中国共産党は、この絶大な権限を手放す意思はない。だから市場メカニズムが機能しないのだ。

 中国の産業分布図をみると、国有および国営企業は、国内総生産 (GDP) の推定 40% と雇用の 20% を占めており、とくに航空宇宙、航空、造船、化学、エネルギーなどの主要セクターだけでなく、銀行システムも含まれている。


 ▲中国は西側の脅威であり続ける

 他方、中国共産党のなかには米英留学帰りの経済学者が多く、中国が国際システムから孤立している現実が中国経済の脆弱性の主な理由であることを正確に認識している。今日の中国は、さまざまな国際機関に積極的に参加しているばかりか、国連関連組織で指導的地位を占める。

 自らも国際銀行を設立して (典型例がAIIB=アジア インフラ投資銀行やシルクロード ファンドなど) を通じて途上国を支援している。しかし多くが唯我独尊的で、ほかの参加国との間に摩擦を引き起こしている。

 中国の指導部の意見では、欧米列強は中国国民を転覆させ、政治的統一を弱体化させようとすることで、中国を脅かし続けているとする。したがって、「西洋化」、「平和的進化」、特に「分裂」を促進する努力は、中国共産党の支配に対する脅威であるだけでなく、中国の国家の一体性に対する脅威だと認識し、ソ連の崩壊を導いたゴルバショフは評価しない。

 「皮肉なことに、中国共産党がより現実主義的になり、毛沢東が提唱した極端なイデオロギー的要素を放棄するにつれて、中国共産党が国際システムに与える挑戦は
増大した。(中略)米国は可能な限り自由で開かれた中国との貿易と投資を行うべきであり、単なる接触に止まるのではなく新自由市場改革によって双方にもたらされる機会を強調すべきである。最終的に、自由化を選択し、経済改革に再び取り組み、すでに合意したルールに従うことを選択するような中国となれば、潜在的な米国のパートナーになり得る。しかし現政権の有り様から推測できるのは、より封鎖され、経済的に弱まるであろう中国が、国際秩序に必然的に挑戦することになるため、より大きな脅威であり続けるのだ」