沖縄・台湾友の会

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デサンティス知事の大統領選出馬表明は大きな空振りだった   米国の分裂状態こそ、世界の安全保障にとって脅威である

2023-05-26 22:04:11 | 日記

 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月27日(土曜日)
       通巻第7767号  <前日発行>
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 デサンティス知事の大統領選出馬表明は大きな空振りだった
  米国の分裂状態こそ、世界の安全保障にとって脅威である
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 順風満帆ではなかった。船出は最初から座礁した。
ロン・デサンティス(フロリダ州知事)の2024年大統領選出馬表明は大きな空振りだった。
 5月26日、ツィッターでイーロン・マスクとともにデサンティス(フロリダ州知事)は型破りの大統領選出馬表明を行った。事前の期待はかなり大きかった。
予約の回線がパンクしたらしく、開始が20分遅れとなった。そのうえ、出馬表明にとくに目新しいスローガンがなく、従来の保守の思想を繰り返しただけで、直後の世論調査はトランプ前大統領との差を縮めるどころか30ポイント以上も開いてしまった。

リベラルなメディアの多くが、『悲惨なスタート』等と書き散らしたが、サンティスが[WOKE]を繰り返し、その反リベラルな政治姿勢を批判したためマイナス面を押し出したに過ぎない。

サンティスは月末から六月初旬にかけてニューハンプシャー、アイオワ、サウスカロライナ州など12カ所を遊説にまわる予定だ。
しかし予備選の緒線地域でも、現時点では盛り上げる空気がない。所詮は「ミニ・トランプ」であり、二人の差違は何かと言えば、サンティスが「若いこと}と「軍隊経験がある」こと、嘗てサンティスの子供がトランプの本を読んでいる映像を流して選挙戦のPRに使うなど熱烈なトランプ支持者だった過去のトランプ便乗経過があり、それなら「次の次」に備えるべきだと諫める声も多い。

インフレ、スタグフレーション、失業、社会保障、銃規制、中絶反対、LGBTなど、とりわけ米国を分裂させているのは『大きな政府』vs「小さな政府』論争に収斂される。

 直近のFOXニュースは久々にヒラリー・クリントンを登場させて「誰もが(バイデンの)老齢を気にしている」と言わせているが、この時の世論調査でバイデンの三大政策にアメリカ人の三分の二が反対していることが分かった。
 すなわち経済政策に不賛成が66%、銃規制と不法移民対策でバイデンの政策に不賛成が67%とでた。

 大統領選挙は24年11月、あと17ヶ月も先であり、これから何が起こるか分からないが現時点でのイッシューにしぼり込むと、第一の争点は中絶問題だろう。第二が大學授業料減免措置、第三が不法移民。ついでインフレ対策、銃規制か? ウクライナ支援は大きな争点にはなっていない。中国に関しても関心はかなり鈍い。

 現在のところ、ウクライナ支援削減は共和党の保守系に限られている。しかしウクライナ戦争が長期化すれば、たぶん来年の予備選の開始までずれ込むとすれば、大きな争点に浮上する可能性はある。

それにしても、これほどバイデン政権は不評なのに、選挙となると、なぜ民主党が強いのか。労働組合の組織力? 若者たちの「なんとなくリベラル」? メディアの左翼偏向。共和党への蔑視?
具体的には身近な雇用、インフレ、そして中絶問題だろう。ファンダメンタルズの強い州では中絶は認められておらず、これが昨年の中間選挙で共和党が予想を裏切って、上院で勝てず、下院で辛勝だった結果を産んだ。共和党有利といわれた選挙区で女性票が土壇場で民主党に流れたからだ。


▲なぜあれほど無定見な民主党が選挙に強いのか?

バイデンが相当な自信をもって二期目の出馬宣言をした背景に大學ローン返済免除プログラムがある。返済のため生活に窮している国民がおよそ4000万人から7000万人。この人たちの多くが民主党に投票するだろう。

米国の大学授業料は高い。そのうえ大學の粗製濫造である。日本も少子化があきらかとなっても新制大学が雨後の竹の子状態だった。
これこそは文科省の最悪の愚策だが、産経新聞(5月24日)の報道に依れば、すでに19の新設大學が入学募集を打ち切った。

全国に私大は598校もある。このうちの284校が定員割れ。経営悪化が急速である。
立志舘(広島)、福岡医療福祉、帰路嶋国際、得上野学園、神戸海星女児学院などが学生募集を停止した。卒業生の就職のためのパスポートである以上、閉校とならず近くの大學に「救済合併」を待つしか無いだろう。

次に争点は不法移民である。
NYから50万人が去って、ブロンクス、クイーンズの人口が減ったが、かわりに65000名の不法移民がNYCに」雪崩れ込んだ。
それこそ一時的にはホテルを借り上げ、ウクライナ近隣諸国の風景と変わらない難民キャンプ、シェルター増設、かれらへの給食やら医療サービル。

じつに140ヶ所のシェルターで一日三食、つれてきた子供たちには学校へ通う手続き、一日に10億円。NYCは24年度の『難民対策予算』を29億ドル(およそ4000億円)と見積もる。
 多くのアメリカ人は不法移民のあまりのおびただしさに悲鳴を上げ、これはバイデンが不法移民の入国を黙認したからだと考えている。失業者の怒りは外国人に職を奪われたという強迫観念に近いものがあり、不法移民の大量の流れ込みを許したバイデン政権に猛烈な批判となる。

ところが、夥しいムスリム、ヒスパニック、黒人、アジア系移民などニューカマーは移民に優しい民主党に投票する。ユダヤ人も民主党贔屓が多い。


中国を制裁すると言いながら、中国との商売は維持する   政策的矛盾のバイデン対中外交はどこへ向かっているのか?

2023-05-26 21:41:14 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月26日(金曜日)
       通巻第7765号  <前日発行>
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 中国を制裁すると言いながら、中国との商売は維持する
  政策的矛盾のバイデン対中外交はどこへ向かっているのか?
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米国務省から三人の中国通がいなくなる。
外交路線は必ずしも商務省が主導する中国企業との取引禁止651社というエンティティリストと適合しない。
ましてUSTRは中国との交渉を続行している。毎日、矛盾に遭遇する国務省としてはやる気を失う人が出てくるかも知れないなぁ。

ウェンディ・シャーマンは初の女性国務副長官である。
 ハーバード大学ケネディスクールの教授を努め、国際政治を講義した。2011年から2015年までは国務次官(政治担当)を務め、54カ国を訪問した。国務省ではオルブライト国務長官の下で参事官、クリントン大統領の特別顧問および北朝鮮政策調整官、クリストファー国務長官の下で立法担当国務次官補を務めてきた。
シャーマンは2021年4月に上院が指名承認後、すぐに来日し、そのあと韓国、モンゴルを訪問しバイデン外交と安全保障政策を説明した。
そのシャーマン次官が近く、国務省を去ると発表された。

 国務省「中国室」の責任者で副次官補を兼ねるリック・ウォータ-も六月末で退任する。
かれは中国、中東専門家で北京語、アラブ語、モンゴル語、スペイン語を操る稀有の存在だった。

 ローラ・ローゼンバーガー(女性)は外交や安全保障分野で多彩なキャリアを重ね、国務省やホワイトハウスの要職を歴任した。三月までサリバン補佐官率いる国家安全保障会議(NSC)の中国担当上級部長だった。台湾政府と頻繁に意見交換を積み重ね、ブリンケンが国務副長官時代には首席補佐官を務めた実績がある。

彼女は三月に米国在台協会(AIT=事実上の米大使館)の理事長に就任した。台湾外交部は歓迎声明を出した。

5月22日に米国企業の代表者らは上海で中国の王文濤商務大臣と会談した。中国が米国の半導体メーカー「マイクロン」に制限を課すことが切っ掛けとなった。在中米国商工会議所などは外国企業の多くが中国のおけるビジネスの継続に不安を高めており、会合がもたれたのだ。
王文涛は両国が協力を継続する方法を見つけることを提案した。

一方で、「中国製」を買わない傾向が顕著となった西側企業がサプライチェーンの再構築を急ぐ中、中国企業も海外へ進出し、「中国製」というラベルを貼り替えて輸出を続行拡大に挑む。
こうしたいたちごっこはいつまで続くか?

チャットGPT、実は日本に親和的     櫻井よしこ

2023-05-26 21:39:12 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6512号 

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チャットGPT、実は日本に親和的
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          櫻井よしこ


「チャットGPT」が急速に広まっている。「ITの神様」と呼ばれる伊藤穰一氏はチャットGPTを創ったサム・アルトマン氏を、過日、岸田文雄首相に紹介したご当人だ。伊藤氏は千葉工業大学で変革センターの所長を務めているが、学生たちにチャットGPTの使用を義務づけた。

「1週間前から始めたばかりですが、学生の能力を飛躍的にのばせると期待しています」と語る。

そもそもチャットGPTとは何か。GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略だ。Generativeは「生成的な」とか「生殖力のある」という意味で、Pre-trainedは「事前学習済みの」の意、TransformerはAI(人工知能)の一種、アルゴリズムである。伊藤氏が4月21日、「言論テレビ」で語った。

「チャットGPTは、大規模言語モデルを有したAIです。大規模言語モデルは、ワープロでの仮名漢字変換に重ねて考えるとわかり易いでしょう。仮名文字を変換するとき、多くの漢字が出てきます。あれは日本語の文章を学習させて、この言葉の後にはこういう漢字が出てくるぞというのを統計学的に学んで、それを出してくるのです。間違いも少なくないけれど、キーを押している内に正しいのが出てくる。GPTはそれに似ています」

人間とのやりとりの中で、AIはある文章の後に何が続くのかを統計学的に出してくる機械、道具立てだというのだ。会話するというより、アルゴリズムに従って続きの文章を選び出し続けるイメージだという。

GPTの理解を進めてくれそうなもうひとつのイメージ、世界中の書物が全て揃っている大きな図書館を例にして氏は続けた。

「櫻井さんが司書に、あるテーマについて学びたいのですがと問います。司書は何冊かの書物を示してくれますね。でも彼は答えを知っているのではなく、誰かがこれまでに発表した著作の中から答えに辿りつく道筋を示す書物を探してくれるわけです。GPTのすることも同じなのです」

司書自身は答えを知らない。同じくAIも答えは知らない。

中露は猛然と活用する

「もっと言えば、AIはたとえば重力についても、数学についても知りません。ただ、『2+2=4』というのはどこかで見たことがあるね、そういえば『1+1=2』というのがあった。これを使えば2+2=4につながるんじゃないかという過程を辿る。だからかなり曖昧な部分はあり、堂々と間違える。想像でしかやっていないから」と伊藤氏。

「大規模言語モデルは、カチッと作られた構造的なルールではないのです。人間でも、人の話を聞いてそれを口写しに言う人がいます。自分が理解していないのに誰か偉い人が言ったからそれを繰り返す。GPTはそんなキャラです」と、氏は笑う。

大変な物識りのチャットGPTというAIにいま、プログラマーでも専門家でもない普通の人が無料で接触し利用できるようになった。プログラムを書けなくてもGPTを使える。全員がプログラマーになれる。そんな夢の時代の到来に米テスラCEOのイーロン・マスク氏が難色を示した

「チャットGPTの頭脳の部分を一般公開すると、犯罪者が悪用して危険だと、彼は言っているのです。ただ何を公開してよいのか悪いのかを決める権利が特定の人やチームにあるのかという議論もなされています。それに彼自身、GPTの開発を半年間中断すべきだと言ったけれど、実は新しいGPTを創る会社をすでに設立していたのです」

世界の一部の国がGPTを活用しなくても、中国やロシアは猛然と活用する。相手方にあるツールをこちらが使えず理解しなかったら、全ての面で私たちの側はボロボロの敗者になると、伊藤氏は説く。

始まったばかりのGPTはまだ問いに対して変な答えを出してきたり、未熟な部分が多い。しかしGPTは日進月歩で成長している。

GPTの成長を促すために、人間は追加情報を入れることができる。善悪の価値基準も入れられる。GPTの頭脳に人類が蓄積してきた価値観、倫理、哲学などを注入し、さらに次の段階に進むための情報や知恵を追加することでGPTの思考系統を人間が調節できるというのだ。

最後は人間が決定するのであれば、世の中に存在する邪(よこしま)な心を持った人々とGPTの関係をどうするのか。ウクライナ侵略戦争ではAIが、殺戮性をさらに高めた怖ろしい兵器を次々に生み出している。

「善悪は同じくらいずつ、世界に存在しています。加えて人間が世の中の出来事をコントロールできているわけではありません。だから、僕たちはガバナンスとかメディアの役割を重視するのです。GPTも含めてAIは人間にジェットエンジンをつけるようなもので、凄い力をその人に与えますから、よい方向にも悪い方向にも凄まじいエネルギーが生まれる。そこで誰がAI、GPTをコントロールするかが重要になります。中国やロシアは国が、米国は民間企業がコントロールしています。ヨーロッパはためらっている。日本は米欧の中間的な立場ですが
、日本こそ重要な役割を果たせると僕は考えています」

使いこなせるのは日本人

日本はIT技術の開発においては出遅れている。しかしこの技術を人類のために最善の形で使いこなせるのは日本人だと、伊藤氏は言うのだ。

「米欧社会はキリスト教、ユダヤ教の価値観で人間が上にいて、その下に動物と物と自然がある。AIやロボットなどを人間を圧迫する存在ととらえて感情的、宗教的に違和感を抱きがちです。日本は神道の国で人間は自然の一部としてとらえられている。ロボットも機械も、魂を持っていても不思議ではないという考えがあるんじゃないか。僕は哲学的、宗教的に日本人の方がAIの活用に向いていると思うのです。AIと社会が上手い具合に融合して、人間らしいガバナンスを保つことも、日本でなら可能じゃないかと思う」

伊藤氏は千葉工大で、MITダライ・ラマ倫理センターのCEOを務めるチベット仏教の僧、テンジン・プリヤダルシ氏と共同授業を行っている。そこでは哲学を学生に学ばせており、ソクラテス・メソッド、つまり学生たちに質問をし、考え学ばせる手法を用いる。

「GPTはこのソクラテス・メソッド、哲学的に考えるということが意外にうまいのです。僕自身、GPTに沢山質問をして貰い、回答し、考えを深めるという学びをしています」

理系の大学でチベット仏教の高僧と哲学について考え、教え、手応えを感じていると伊藤氏は言う。

「善悪ほぼ半々の人間社会を僕たちは善い方向に導きたい。そのために、日本の僕たちが日本本来の、皆で一緒に和をもってやっていこうという哲学、美学をAIにもたせることができれば、AIもGPTも怖くはないと思います」

それを実現するためのプログラムは今年6月頃にも発表されるという。楽しみに待ちたいと思う。 


ワグネル傭兵がウクライナ戦線を離れて何処へ行くのか    アフリカのマリ共和国、中央アフリカ等で、暗躍している

2023-05-26 21:35:42 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月25日(木曜日)
       通巻第7764号  
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 ワグネル傭兵がウクライナ戦線を離れて何処へ行くのか
   アフリカのマリ共和国、中央アフリカ等で、暗躍している
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 ロシアの傭兵部隊「ワグネル」が6月1日からウクライナの戦線から離れる。
創設者のプリゴジンが5月21日に明らかにした。ウクライナ軍の反転攻勢を前にして部隊の壊滅を避けようとしている。

 米国は、ワグネル軍団が外国からの武器購入を隠蔽する目的で虚偽の書類を用い、アフリカの内陸国家、マリを経由して軍需品を移送していると非難した。米国務省は「ワグネルは戦争支援のため物資調達をマリ経由で輸送しようとしており、虚偽の書類を使用するという報告を受けた。実際、ワグナー部隊にはその兆候がある」とした。

 米国はすでにワグネル軍団を「多国籍犯罪組織」と指定している。ウクライナ最高議会も、「ワグネルなど民間軍事企業はテロ組織であるとの声明を出した。
 北朝鮮が22年師走にロケット推進手榴弾とミサイルを輸送した。トルコで武器や装備品購入を試みたことも判明した。

 ワグネルがマリにおくりこもうとしていたのは地雷、ドローン、レーダーなどで、22年11月にはワグネルの創設者で実業家というより「プーチンのコック」として知られるプリゴジンの関連企業が中国の小規模企業、杭州シャインレイン輸出入有限公司からヘルメット2万個を購入した「実績」もある。

 それにしてもなぜアフリカ北西部の海の出口のないマリなのか? じつはワグネルは傭兵としてアフリカ大陸で活動し、クレムリンが承認した「友好的な」政権への支援をしてきた。2021年にマリの反政府軍と戦う目的でマリに派遣された。ラブロフ外相は同年9月、ロシアが「民間軍事請負業者」を通じてマリ政府に「援助を提供している」と公式に認めた。

 2018年以降、ワグネルは中央アフリカ共和国にも派遣され、また軍事支援だけでなく複数の子会社(ダイヤモンド取引をするディアムヴィル社など)を通して鉱山採掘や伐採、輸送船の警備、税関の提供、さらにはウォッカやビールを生産するなど中央アフリカのインフラ事業に介入し手北。複合商社のような役割も演じてきたのだ。

 マリ共和国での軍事活動をマリ政府は否定しているが、米国アフリカ軍(AFRICOM)の司令官は、「ワグネルはロシア軍の支援を受けている。ロシア空軍機が彼らを現地へ移送している」と語った。フランス外相もワグネル傭兵部隊がマリ暫定政権を支援していると非難した。
 ウクライナ戦線いがいでもワグネル傭兵部隊の闇は深い。

学生ローン返済免除になぜバイデン政権は拘泥しているか   一生懸命働いて返済した人たちの汗と涙を踏みにじるのでは?

2023-05-26 21:30:02 | 日記
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)5月24日(水曜日)
       通巻第7763号  
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 学生ローン返済免除になぜバイデン政権は拘泥しているか
  一生懸命働いて返済した人たちの汗と涙を踏みにじるのでは?
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米国連邦議会下院は5月24日にジョー・バイデン大統領が進める「学生ローン免除計画」を無効にする決議案を採決する 。
 下院共同決議第45号は、年収12万5000ドル未満の学生ローン債務を最大2万ドルまで帳消しにするというバイデン政権の政策撤回を意図している。

決議案推進のグッド議員は「バイデン大統領の学生ローン移転計画は、学生ローン借り手から数千億ドルの支払いを、ローンを利用しなかったアメリカ国民の肩に移している」と述べた。つまり「返済のために一生懸命働いた人、または最初からローンを借りなかった人を不平等に扱う一方的な措置だ」と主張する。

 下院教育・労働委員会のバージニア・フォックス委員長(共和党、ノースカロライナ州)は、学生ローン取り消し「計画」で納税者に少なくとも3150億ドルの負担がかかると計算する。
 議会予算局は「大統領の融資免除計画により 今後10年間で 納税者に約4000億ドルの負担が生じる」と試算しているが、ペンシルベニア大学ウォートンスクールの調査では 5000億ドルを超える可能性があるとした。

ホワイトハウスは既に声明のなかで、決議案が下院と上院を通過した場合には大統領が拒否権を発動することを確認した。

 学生ローンを返済中のアメリカ人はおよそ4000万人。これがバイデンに投票するわけで、明らかに選挙対策である。

「教育省が提供する救済金のほぼ90%は、年収7万5000ドル未満のアメリカ人に与えられる。収入上位5%の個人や世帯には救済金は渡されない」とバイデン政権は貧富の差を訴え、論理をすり替えている。
これが早ければ、6月1日にも予想されている米国のデフォルト予測の基盤であろう。

日本の大學授業料ローンもいずれアメリカ並みの大問題となるだろう。
私立大学の平均年間授業料は120万円以上である。ハーバード大学のように年間7・5万ドル(1012万円)ほどではないといえ、奨学金受給は少数派。所得の少ない家庭ではローンを借りることになる。

アメリカの平均が5万ドルとして、四年間で20万ドル(2740万円)の授業料。これを20年かけて金利も支払いながら返済してゆくと、年収が5万ドルほどないと、とても暮らしは成り立たないだろう。


 ▲日本でも学生ローン返済は大問題になりつつある

日本政策金融公庫の場合、学生一人の上限が350万円で固定金利1・95%である。
返済は最長18年。たとえば100万円かりると、毎月の返済が9300円で、119回分割となる。

また審査、条件が厳しいが大学教育費用無償化制度も2022年度から取り入れられた。これは中国人など外国人留学生に対して授業料免除、生活手当支給などという不平等是正の声が高くなったため文科省などが付け焼き刃で制定した。

いずれにしても大学四年間は日本の若者にはモラトリアムで、社会へ出てからやり直し教育(研修)を経なければ役に立たない。アメリカではローン返済で生活苦に陥り、結婚を諦め、マイホームは夢となる。日本もそれに近い。

中国では「大學はでたけれど」。出前か、ゴミ収集。コネがなければ国有企業には就職できないから絶望が拡がる。中国人の意識変化は日本より急速で、結婚しない、子供はつくらないという人生観が主流となった。

こうした大学制度そのものを再構築する必要があり、率直に言って大學への神話と幻想をすてる時期を迎えているように思える。