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ヴァップは「春の祭り」だが「学生の祭り」でもある。
フィンランド人が最も首を長くして待ち焦がれている季節が春。 そして春を告げる祭りが5月1日の「ヴァップ(Vappu)」。
世界的には労働者の祭り「メイデー」だが、フィンランドでは少々趣が違い、春の到来を祝い、学生達が大騒ぎをする日だ。
家庭では「シマ(Sima)」と呼ばれるレモン汁をイースト菌で発酵させ、乾葡萄を入れたレモネードのような飲み物作る (僕もバケツの中に4リッターのシマを作ったが、レモン系炭酸飲料のような爽やかなのみ心地はなかなかのものだった)。
家族は郊外にピクニックに出かけ、学生達は、学生帽をかぶって街にくりだし、大騒ぎをする。 4月30日の前夜祭(Vappuaatto)から酒、酒、酒の2日間が始まる・・・。
「ヴァップ」については、フィンランド政府観光局のホームページ「FINLAND THIS WEEK」にて詳しく解説されている。
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この日ばかりは、現役学生ばかりでなく、旧学生も元学生もクローゼットから帽子(Lakki) を引っぱり出して街にくりだす。
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帽子の真ん中からフサが垂れ下がっているのは、工科大学生専用の帽子。
フサは工科大学生の誇り、自慢の帽子である。
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1998年3月発行、ヴァップの記念切手
イラストの女性は、フサ付きの帽子をかぶっている。
Stamp Design: Mika Launis
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タンペレ工科大学・学生会の「ヴァップ行事予定表」(相当前のモノだが、行事は今日でも変ってないはず・・・)
4月30日(ヴァップ前夜祭 Vappuaatto)
1、タンペレ市内、ケスクストリ(中央広場)にて学生帽(Tekkarilakki) の授与式。
2、タンメルコスキ(Tammerkoski) 運河脇にて「バスに何人乗れるか!」大会(Maailmanennaätys koe).
3、ビールを飲みながらのランニング競争(Pölökalja Viesti)。
4、「Myssy」にて19:00よりダンスパーティー。
5、24:00よりハメンシルタの「Suomineito像」に学生帽をかぶせる (Suomineidon Lakitus) 儀式。
5月1日(ヴァップ当日 Vappu)
1、7:00-9:00 ニシンの朝食 (Silliaamiainen, Konetalon Terassilla)
2、12:00 Vappu kulkue ドムスよりタンメルコスキ運河脇の公園まで行進。
3、13:00 「タンメルコスキ運河に浸かる儀式」 Teekkarikaste。
4、14:00 タンメルコスキ、運河岸にて競技大会。
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タンペレのヴァップ、最大の呼び物 「Teekkarikaste」
新入生をクレーンで吊り下げ、市の中心を流れるタンメルコスキ運河(Tammerkoski)に浸けるという「洗礼(Kaste)」の様な行事。
5月とはいえ、所々に氷が残る運河の水は、ものすごく冷たい。
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新入生は、これ (洗礼) を体験しないと本物のタンペレ工科大生になれないということで、高所恐怖症も寒がりもクレーに吊り上げられて運河の水に浸かる。
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水の冷たさは想像以上!
あまり水に浸からないように、腰を上げて・・・。
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ヴァップ恒例の行事「バスに何人乗れるか(詰め込められるか)?」コンテスト。
満員電車、満員バスに乗り慣れていない彼らにとっては、楽しい異常体験!
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何10年かぶりでタンスの中から取り出してみた学生帽 (Teekarilakki)。
所々黄ばんで形も少し変形してしまった。
あらためて見れば、思ったより巨大なフサが付いていて、見れば見るほど妙な形をしているのだが、フィンランド人がかぶると似合うのですね、これが。
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1916年、ヴァップにて学生帽(Teekkarilakki) 姿のアルヴァ・アールト 18才。
photo; 「AALTO」 Kirmo Mikkola Gummerus 1985 より