
この本は,室町時代から第二次世界大戦後の1947年に皇籍を離脱されるまで,累代の皇族として存続してきた伏見宮家最期の当主である伏見博明氏の口述を基に刊行されたものです。
氏は皇族から一民間人へ。
それは「二重の人生」だったと述べています。
祖父で軍令部総長を務めた伏見宮博恭王の家庭での姿、広い邸と家族一人ずつの別荘、親と離ればなれの教育、幼い頃からの公務、皇太子(現上皇)との日光疎開、皇籍離脱、米ケンタッキーへの留学、外資系企業の営業、菊栄親睦会、そして「皇族」への思いが綴られています。
皇室,皇族の生活についての口述については新たに知るようなことはそれほどありませんでしたが,昭和天皇や令和天皇との親しげなやり取りについては微笑ましく感じました。
しかし,如何せん宮様です。
アメリカ留学したけど何を勉強したのかさっぱり記載がないし,英語が喋れるようになっただけ?本当に外交官になりたかったのならコネを使って外務省に入ればよかったのに,なぜか会社員になってしまった。
その仕事ぶりを述べているけど,「宮家」であったことを武器に仕事をしただけのようです。
迷惑をこうむった人はたくさんいたでしょうね。
博明氏とは直接関係ありませんが,伏見宮家には個人的に興味がある人がいらっしゃいます。
三代遡った曾祖父の貞愛親王の兄弟に依仁親王です。
依仁親王といえばカラカウア王の姪であるカイウラニ王女と結婚していたかもしれない人物です。
明治天皇がカラカウア王の求めに応じなかったので実現することはなかったのですけど。
ハワイ大好きなボクとしてはかなり残念な出来事であります。
また,今後の皇位継承について旧宮家の男系男子が養子縁組などで皇籍復帰する案が出ているけど,この本を読む限り時すでに遅しという感じがします。