カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告第2弾<もしあなたの友達が>

2005年09月09日 21時37分05秒 | 人身売買防止プロジェクト(意識啓発)
みなさんこんにちは、平野です。9月5日~8日、3泊4日で再度プレイベン州コムチャイミア郡の国際子ども権利センターが支援するHCCのプロジェクト地に出張して参りました。今回から数回にわたって、いろいろとご報告させていただきたいと思います。

今回は村での聞き取り調査を多く行いました。今日はその中から、SBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)のメンバーの話に耳を傾けたいと思います。

【SBPNメンバーになって楽しいです】

基本データ:トゥールトン小学校、SBPNメンバー16名(男女比4:12)
15才女子・6年生・成績4番


Q HCCが来る前から子どもの権利や人身売買業者の手口について知っていましたか?
A いいえ、私にとって新しいことでした。

Q 中退者は多いですか?
A はい。年齢が高いのに学年の低い子はイヤになってやめてしまう場合があります。先生の話を聞いていなくて落第を繰り返す子もいるし、幼い兄弟の子守りで忙しく、学校に行けなくなり、長く休むと先生に会うのが怖くなって行かない子もいます。遊んでいて先生に殴られたため、怖くなって行かなくなる子もいます。

Q 出稼ぎについては?誘われたらついていきますか?
A いいえ、もうよく分かっています。買春宿に売られるかも知れないし。

Q 男の子と女の子どちらかが出稼ぎに出るとしたら?
A 男の子です。女の子はより危険ですから。

Q レイプについては?賠償金で解決していいと思いますか?
A いいえ、刑務所に行くべきです。ドメスティック・バイオレンスよりも危険で、被害者は自殺したりするのですから

Q SBPNメンバーになった経緯は?なってみてどうですか?
A 先生に選ばれました。イヤならイヤと言えましたが、やりたいと思いました。なってみて、色々な知識を得られたのでうれしいです。トレーニングも長かったけど楽しかった。

Q 難しいこともあると思いますが、これからも続けてくれますか?
A 私が具体例を出したり、HCCのトレーニングを受けたことを伝えたりしても、関心を持ってくれない友達もいます。私が子どもだからでしょう。友達も子どもなのだけれど・・・でも続けたいと思います。繰り返しやれば聞いてくれるかもしれないし、周りのみんなにも、知識を持ってもらい、人身売買を防ぎたいのです。

【もしあなたの友達が・・・】

Q さっきレイプの被害者が自殺することがあると言いましたね。悪いのは加害者なのに、どうしてでしょう?
A 傷つくし、処女を失って、将来も無くなってしまうから・・・

Q でも周囲の人が優しくしたら、自殺しなくてすむと思いますか?
A そうですね。

Q もし友達がそのような被害を受けたら、優しくしてくれますか?
A はい。寂しいでしょうし、差別されるでしょうから。

長い時間多くの村人に囲まれて(村にNGOが来てインタビューをする場合、これは避けられません。ましてや外国人が来ていては・・・)、ちょっと疲れ気味の彼女、長い時間の協力にお礼を言い、手品を披露して最後は笑顔でお別れしました。

最後の3つは私からの質問でした。レイプは重大な犯罪です。買春宿に売られるのは恐ろしいことです。そういった認識を持つことは重要ですが、“そういった被害に遭ったら人生おしまいだ”という観念がカンボジアに(カンボジアだけにではありませんが)根強くあることを私はいつも危惧しています。実は少し前の新聞でも、人身売買に取り組む女性の警察官僚が「人身売買は憎むべき犯罪です。少女の人生がダメになってしまうのですから」と発言しているのを読み、とても残念に思いました。どんな被害に遭っても、決して人生は終わりではない、人身売買の恐ろしさとともに、そのことを子どもたちに伝えたいといつも思っています。

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