ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈2〉炎龍編〈上〉 (アルファポリス文庫) | |
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「栗林君。喋りたくなるようにしてあげなさい。」
「はい。隊長♪」
というわけで、今回はGATEの2巻にあたる上下部分の感想になります。
とにかくはまりにはまっておりまして、気が付けば今は5巻の上を読んでいるところで、すでにこの巻もいつ読んだのやらということになっていますが、感想書くよりもとにかく読みたいので遅くなっております。
と言っても、書き出しはこれを読み終わった時に一番好きなのは炎龍よりもこのシーンだなと思っていたので、敢えてこれです。
このシーン、本当に皇帝陛下の長男に殺意すら覚えたシーンなので、すごくすっきりしました。
というわけで?、今回も感想いってみます。
①本巻の概要みたいなもの
本格的に講和交渉へ乗り出した日本。帝都の講和派の貴族たちを相手に伝手を作るための工作を行います。そんなさ中、突然の地震が帝都を襲います。
普段、地震がないため帝都では大騒ぎになり大混乱。地震大国日本で地震に慣れている伊丹や部下たちは平然としてますが、その余裕をピニャに買われ、伊丹たちは皇帝に地震の対処方法を教えるために急きょ皇帝に会うことになります。
そして、その場に偶然駆け込んできた(避難してきた)皇帝の長男ゾルザルに出会うことになるのですが、ゾルザルが一緒に連れてきたのは各国の性奴隷達でした。その中には日本を攻めるための事前調査として侵入した際に拉致された日本人女性の姿が。
怒り心頭の伊丹は皇帝が見ている前にも関わらずゾルザルをぶん殴ります。さらに栗林隊員は親衛隊を何名か殺害し、ゾルザルを拷問にかける始末。拉致した日本人の情報などを引き出したのでした。
そんな講和前にいろいろとまずいことをやらかした伊丹たちですが、アルヌスに戻ると、エルフのテュカの様子がおかしくなっています。
原因は、伊丹たちがアルヌスから帝都に発つ前にあらわれたダークエルフの女性(名をヤオという)が炎龍を退けた緑の人(自衛隊)に助けを求めることに失敗し、テュカに父親が死んだ真実を話したためです。
それがきっかけで、その事実を受け入れられないテュカは伊丹を父親と思い込むことにします。
それに付き合う形でテュカのその様子をはじめは受け入れた伊丹でしたが、テュカをこのままでは放っておけないと思い、テュカが今の現実を受け入れるにはテュカの手で炎龍にとどめを刺させるしかないなと考えます。ただ、隊員たちに危険が及んではいけないと思い立ち、結局テュカと二人で炎龍を討伐に行こうと考えます。
そして、作戦からの急な離脱により隊員たちを巻き込まずに済むようになったものの、ロウリィやレレイからは逃れられず、案内役のヤオ、襲われている一族であるダークエルフの親戚たちとロウリィ、レレイを伴って炎龍退治の旅にでる伊丹であった。
②感想みたいなもの
・日本の圧倒的な文化無双
水面下の講和交渉のさ中、日本の真珠、扇子など様々な日本の職人の結晶が帝都の講和派の貴族たちに贈られたり、日本人の作った料理などが振る舞われたりするのですが、これが今の異世界ものではいかにもという感じのテンプレ的な貴族たちの賞賛を得ることになります。
読んでいての感想としては、最近読んだ中では『異世界食堂』(ヒーロー文庫 著:犬塚惇平)に出てくる異世界の方々が初めて日本の洋食屋の料理を口にしたときのような驚きに似ているなと思いました。
別作品な上、出版も本巻の方が早いので、真似たとかそういうことではないのですが、なんというか日本人であることの優越感を得ることができるというのが楽しいなと思います。
ただ、主人公の伊丹とその元妻理沙によりオタク文化と腐っている婦人方を量産してしまったというのもあるのですが…。ピニャ殿下も日本の芸術作品(いわゆるブクロ系と呼ばれるあれです)を翻訳するためにアルヌスに部下たちを語学留学させるくらいには腐っております、はい・・・。
アルヌスの難民キャンプも自衛隊が人道的支援をすることで、自衛隊隊員の活動拠点(息抜き)として発展し、街の酒場では日本のビールが提供されたり、店では日本から取り寄せられた布地などが取引されたりすることになり、経済の拠点となります。そこでは、多民族の雇用を促進し、活気ある街になってるのも楽しかったです。
・栗林隊員無双
とにかく圧倒的に強いのが、このロリで巨乳のスペックの高い?栗林隊員です。
彼女の活躍するシーンは今回では一番気に入っていて、この女すげぇ強いなとか、拷問するシーンでは思わず笑いそうになりました。
この感想を書いている段階(5巻を読んでいる途中)では彼女の戦闘シーンといえる部分はそんなに多くないので、彼女が活躍する少ないシーンの一つになるのですが、私の中ではこのシーンは今読んでいる段階でも印象に残っていて好きなシーンの一つでもあります。
・人望のある主人公
立ち向かうよりも逃げる時にこそ本領を発揮する主人公の伊丹隊長ですが、その分やるときはやりますし、仲間想いの優しい頼りがいのある隊長として今巻も活躍します。
テュカを救うために一人で立ち向かう仲間想いな伊丹さんはアルヌスの難民キャンプでもダンナと親しまれる好人物として受け入れられています。
とりあえず、困ったことがあったらイタミのだんなに相談というくらいに親しまれているせいで、ドラゴン討伐のために留守にして相談できなくなったら、アルヌスで大変な事件が起きちゃったよ?というくらいにえらいことになります。そういう人物に私もなれたらなと憧れます。
・炎龍・・・えっ!?
実は、炎龍編でありながらドラゴンの討伐があんまり印象にのこってないんですよねぇ・・・
もちろん、ダークエルフ一族が加わって一緒に退治しに行ってほとんどが死んでしまうということやレレイが人がかわったように不気味になったり、どうやって退治したかとかそういうのは覚えているのですが、正直、あんまり感想らしい感想を持っていないというのが本音です。
ジゼルとか龍族の亜神やロウリィが伊丹隊長のことを好きすぎてヤムチャしてしまうところなどは覚えているのですが・・・
なんだろう?「コウホウアンゼンカクニン」を怠ると即死級な武器を自衛隊は使っていたのかと思ったくらいで・・・
炎龍は倒し方の過程よりも倒したという事実が次巻以降で世間に衝撃を与えることになりますが、やや印象不足な内容ではあったなと思います。
③まとめ
と、本巻も自衛隊無双、外交無双、日本文化無双により面白く読むことができました。
ただ、残念なのは、上で述べたように個人的には炎龍の討伐がそんなに印象に残ってないことです。
その他、物語とは直接関係ないのですが、作者自身の外交に対する考え方などが入っているように見受けられます。この点に関しては私は特に気になる点はないのですが、こういうのは外交じゃないとか、著者の記述に間違いがあると指摘できる方には許容できるかどうかは正直微妙だと思います。
また、日本の外交手腕などは本当にこんなにできる人ばっかりなのか?と疑いたくなる一方でファンタジー世界なんだからこれくらいのファンタジー(虚構)は許されてもいいのではなかろうかと思いながら読みました。
以上の点に若干の不満点や疑問点などはありますが、次巻もすぐに読みたいなという思いは薄れないまま読める巻でした。