京都帝大を卒業した数学大好きな主人公弓削は奈良の女学校で数学を教えていた。
そんなある日、教え子が亡くなり冤罪で監獄入りしてしまう。
舞台は、レンガ造りの美しい奈良監獄。
監獄に収監されて2年、これもまた冤罪で収監され終身刑をくらった羽嶋にであってから、じわじわと脱獄の思いがつのり、脱獄を企てる。
はたして主人公たちの脱獄は成功するのか。
という物語です。
まず、脱獄を小説で読むのは多分初めてじゃないかなと思うくらい、心当たりは正直ないので比較のしようがないなと思いつつも、脱獄ものってこういうものなの?と思ったのは本音です。良いとか悪いとかいうよりも、文章で読むとこんなもの?と思うくらいに。
ただ、読んでいてところどころ『ショーシャンクの空』の囚人の生活ってこういう感じだったよなと思ったり、いろいろな映画やアメリカドラマは思い浮かぶほどなので、大正を舞台にした脱獄小説と思えば、情景が浮かびやすいので良い作品なのかな?とは思いました。
この作品の微妙だなと思ったところは、囚人同士の関係性や脱獄への思いの盛り上がり方というか、回収しなくてよかったのか?と思うようなところなどちらほらと「人間が作ったんだから穴もありますよね、本作の監獄みたいに」という感じがあるのと、いろいろと軽いというか、薄いという感じがあり、もうちょっと踏み込んでも良いのではないかと思うところが私にはありました。
逆に、そこが味だと言われると、そうかもしれないと思えるところなので、これは私の好みの問題かもしれません。
しかし、そういうところもありつつも、脱獄に向けての派手さみたいなものは正直なかったですが、知能的だし、現実的だなと思いましたし、実際に脱獄を本当に上手くするのはこういうやり方かもしれないなと納得できるところは多かったと思います。
そんな本作からは、人間って、積もり積もるというのもあるかもしれませんど、思い込んだたら突然なところってあるようなぁと思いました。
ネタバレではないですが、そんな理由で脱獄を企てるのか?と思うかもしれません。
でも、行動ってある日突然、思い立ってやってしまうっていうことも私は多いと思うし、ある種の人間らしさというのが本作品には詰まっているように思いました。
あとは、この味付けに合うのかどうかかなと思います。
読みやすいし、情景は伝わりやすいです。軽い、味は薄目が良いという方、ブロマンスに抵抗がなければ、向くんじゃないかなと思いました。
※ブクログに掲載した感想を転載しております。
他の方のレビューなども読んでみると評価が高めの本作品。
単純に私には合わなかった、物足りなかったというだけだろうなと思います。
思い返してみても、面白かったかな?とは思うのよ、うん…。
それに、私が物足りないと思っている部分、もしかすると本作の味になっている部分かもしれないので。
ただ、凄い壮大な脱獄計画にハラハラする脱獄シーン、えげつないくらいの看守や囚人の暴力シーンを想像している方は、そんな作品ではないとだけは伝えたいと思います。
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