戦国時代に生まれた呪い人形のお梅。
封印されていた彼女は500年ぶりに目覚める。
起きた場所は日本の某所。
いろんな人を呪い殺したくてウズウズしているお梅の呪い人形伝説が今、幕を開ける!はず…?
拾われ先の各章の登場人物視点と呪いたいお梅さん視点で語られながら進んでいくのですが、このお梅さん、呪い人形の名に恥じないくらいにめちゃくちゃ残虐です。
ドS過ぎなんですが、だが、そこが良いし、何故か可愛く思えるのが不思議。
お梅さんも呪い以外では自分のスペックを理解しているのがよく、起こせる超常現象も限られており、洋画で人形が包丁とか刃物を持って人を襲うとかそういうのではなく、どちらかというと呪い殺しの美学みたいなものまで持っている面白い女の子、いや面白い人形です。
そんなお梅さんパートを読むのがとても楽しく、読んでいて思わずクスっとしてしまうくらいに面白かったです。
また、そんなお梅さんが呪い殺しにかかるのは、こんな人いるよなぁという人たち。
しかも、いろいろと張り巡らされている伏線(伏線かはわからないですが、敢えて伏線と言います)がしっかりと回収されていくのが面白く、道中笑いあり、涙ありで楽しかったなと思っています。
さて、そんな本作品を読んで思ったのは、
「今の人達って本当に弱いのか?」
ということです。
休職者も多いし、鬱病にかかる人も多いし、働けず引きこもりの人も多い、失恋したら立ち直れないし、コミュ障とかも話題になるし、歳をとれば認知症になる人だっている。
一方で、私が思い描く戦国時代の人たちは、生きることに必死というイメージだし、戦場で刀や弓、鉄砲を持って殺し合いをして生き抜いていた。
そんな人たちを想像している私にとっては戦国時代の人たちのほうが今の人よりもメンタル面は強いだろうと思っていました。
しかし、本作を読んでみるとどうも勘違いしていたかもしれないなと思います。
まずは肉体面は食べるものが明らかに豊富な上、医療も充実している。そうやすやすと健康面で不安なことというのは病気以外はあり得ないなと思います。
次に精神面でも、戦国時代の人々と比べて、現在の私達はSNSや仕事などで多くの人とコミュニケーションを取らなければならないし、仕事でもたくさんの人々と接しなければならないので、そこにストレスはたまりやすい原因があるように思います。
また、抱く不安や怒りも頂点に達したところで、人を殺そうとまでは思いません。
そう思うと、今の私達って昔の人々と置かれている環境が違えど、実は思った以上に弱くはないなと思いました。
そして、戦国時代から500年の時を経たお梅にとっては同じ日本でも異世界に迷い込んだものだと言っても過言ではない状況だと思うので、宇宙人と戦っているようなものだろうなと思いました。
宇宙人vs呪い人形のお梅
彼女の奮闘を是非見届けてほしいと思います。
※ブクログに掲載した感想を転載しております
今の若者はとか言いますが、実は今を生きる人は強い。
お梅さんかわいいなと思いながら読みました(笑)
続編もあるようで楽しみです。
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