警察学校を首席で卒業したヒロインいずみが配属されたのは、窓際とも言える資料編纂室。
ただ、資料を旧式のパソコン「ポルタ」に入力するだけの業務にうんざりしていたある日、過去の事件の資料を入力したらポルタから怪し音と光が。
いずみが目を醒ました先は、なんと直前まで入力していた資料の事件が起きたくらいの日で、しかもいずみはその当時の署長の体に憑依している状況に。
本作はヒロインいずみが、データ入力をした事件資料の事件当時の管轄警察署の警察署長に1日だけ憑依をし、事件を解決し、未来を良い方向に導くタイムリープもののミステリーです。
本作の作者、大倉先生はコナンの脚本も手がけている方というのを読み終わった後に知り、確かに1編約50ページを読んでいて、30分のアニメを見ているかのような感覚になるほどに読みやすいと感じました。
全5篇の短編ですが、本を読んだというよりは5話分のアニメを見たという感覚が近いかなと思います。
ミステリーとしては、捻りとか手強いミステリーというわけではないとは思いますが、読んでて楽しいなぁと思える謎解きだと思います。物足りないという方はいるかもしれませんが、私は丁度良かったなと思います。難しすぎず、簡単過ぎずで。
また、普通あり得ない、署長自ら単独プレイで、グイグイ捜査をしていくというのも面白く、副署長や巡査、何なら一般人まで巻き込むんで、第三者からみると面白そうな捜査してるなぁと思ってしまいました。
世の中、忘れ去られてしまった事件がたくさんあるし、警察側でもあの時もっと違う捜査をしていれば防げたと思うような事件もあったでしょうし、あの時、ああしておけば迷宮入しなかった、もしくは解決が早かったというものもあるでしょう。
人間だし、判断1つが結果に大きな影響を与えるのはわかりつつも、所詮は後の結果論。
しかし、そんな結果論ありきで過去をかえることができたら?
結果がわかっていても過去を変えるというのは難しいでしょうけど、見ている側は悪い過去が変わるように無意識に応援してしまうんじゃないか?そして、無事に過去が変わったんだろうなという結果をみて、たとえそれがフィクションでも良かったなぁとか、ああ、スッキリしたと思うんじゃないか?
そんなスッキリ感を味わえる5つの事件が本書にはあると思いました。
※ブクログに掲載した感想を転用しております。
丁度よいページ数の1篇の短編の中に読みやすく読み進めたくなるような内容。
読んでいて楽しかったです。
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