母を車椅子に乗せて枝垂れ桜を見に行く。
暑いくらいの晴天。
鶯が枝から枝へと花びらを蹴散らしながら飛び移り
力強い声でほほほほけきょ、と鳴いている。
思わず、極楽みたい、といってから
ホームから出て来て極楽じゃまずいなー、天国みたい?
もっといかん、桃源郷みたい?桃じゃないしと逡巡していたら
母が「夢みたーい、夢に出てきそうな。」と言う。
うん、それがいいね。
夢みたい。
夢のように美しい。
みな美しき、ってこんな情景かなー、誰の歌だったっけ?
ときくと、与謝野晶子だね、と母が返す。
清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢う人みなうつくしき