「・・・国会での答弁にしろ、討論会での発言にしろ、議事録を
起こしてアーウーを抜くと、きちんと筋の通った文章になって
いる、と言うことも政治通のあいだでは評価されていました。
歴代の首相の中には、よどみなくしゃべるのだが、議事録を
起こしてみると、意味不明という人もけっこういましたからね。」
幹事長時代の大平(正芳)について、当時共産党書記長だった
不破哲三の証言である。
アーウーをマスコミに揶揄されていたが、それが彼の慎重さ
や控え目な性格がもたらしたものであり、その発する言葉の
一つひとつがきわめて慎重に選ばれた結果であり、論理的で、
明瞭であったことも認められつつある。
(福永文夫著「大平正芳『戦後保守とは何か』」より)
政敵からも、その言葉の重みを評価されていた故大平正芳は、
今の日本の首相と何と違うことか。
さて、「チェアリング」を実践した後のウォーキング。
大場川沿いに戻るとすぐに、コミュニティセンターの庭先に
パーカーを着た「しょんべん小僧」(多分)が目に入る。
自由奔放に枝を伸ばす白梅を撮っていると、突然「アオサギ
は撮りました?」と後ろから声を掛けられる。チェアリングの
最後の頃、池の反対側を歩いていた同年輩のご婦人である。
以前はツガイで、最近は一羽でいつもこの土手にいると言う。
一緒に土手下を探すが、どうやら散歩に出たようだ。
やがて、広々とした吉川運動公園に入る。吉川市役所の奥に
高層マンションが白く輝く。このあたり一帯の「きよみ野」は、
UR(都市基盤機構)が開発した63ヘクタールのニュータウン。
JR武蔵野線の吉川駅までは2キロから3キロほどの位置に
あり、二十二、三年前から入居が始まった住宅街である。
運動公園から先に進むと、大場川は1メートルほどの細い
流れとなり、その東側では更に宅地開発が進行している。
瀟洒な住宅街の脇は緑道が整備され、やがて給食センターが
見える頃、緑道も終点となる。
このあたりの湿地「二郷半沼」が干拓され、その排水路と
して開削されたのが大場川。三郷市の南部で中川に注ぐまで、
全長約17キロの人工川の源流点である。
下の写真には見えていないが、道路の向こう側、フェンス
の下を流れる「木売落(キウリオトシ)」からの暗渠管が覗く。
来し方を振り返ると桜並木が続く。もうすぐ華やかな風景
となるだろう。
ここまで自宅からは7キロ。コミュニティバスで吉川駅に
出るか、続けて歩いてしまうか、続きは次回。