じんべえ時悠帖Ⅱ

シエラザード

 明け方の気温が22℃と涼しい朝。半袖、半ズボンの散歩は

寒いかなと躊躇するほど。猛暑の頃は30℃の朝もあったこと

を思うと格段の差である。

 プーチンが戦時特別経済措置を講ずるとの報道が国際面に

載る。国内の企業に軍の物品やサービスの調達に「否応なく」

応じなくていけないという法案を準備中と言う。

 特定の企業には従業員の休日・夜間労働、残業を強制する

ことも盛り込まれるという。まさに「国家総動員法」である。

ウクライナ侵略の長期化を見越していることは間違いない。

 昭和の始め欧米列強の植民地主義に対抗し東アジア各国を

侵略したた日本、NATOの包囲網に対抗し周辺各国にロシア化

を強い、抵抗するウクライナを武力侵略するロシア。

 一世紀近くを経て「歴史は繰り返された」のである。

 

 昭和二十年春、自軍のみならず、東アジア各地の捕虜への

食料などにも事欠いた日本に対し、連合軍は自軍捕虜向けの

食料などの物資を運ばせるため、日本軍の病院船「阿波丸」

に安導券(安全な航行を保証するもの)を与えた。

 阿波丸は昭和十六年に完成した豪華客船だったが、一度も

客船として航海することなく病院船として接収されていた。

その赤十字を緑十字に塗り代えて東アジアの日本軍占領の

各地に救恤物資を配達して回った。

 大東亜共栄圏設立用に占領各国で接収した資金を上海に

保管していた日本は、その夢も破れ阿波丸を使って本土に

送ろうと考えた。「安導券」は絶対安全である。

 しかし、その思惑は連合国に掴まれ「誤爆」という形で

海の藻ずくと消えたのである。念のため万一の「盾」として

乗り込ませた2千人の民間人が乗組員共々犠牲となった。

 35年後の1980年、中国が台湾海峡に沈んでいた阿波丸を

引き上げたが、「金50トン、プラチナ12トン」と噂された

大東亜共栄圏資金はなかった。

 この阿波丸を「弥勒丸」と代えて書かれた小説が浅田次郎

の「シエラザード」。リムスキー=コルサコフの交響組曲で

有名だが、弥勒丸の船長が好んで聞いていた。

 そして、シエラザードは千夜一夜物語の語り手である。

 文庫本で上下二冊を読み終えた。船長が好んだという交響

組曲も聴いてみるか。

 

 

 


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コメント一覧

jinbei1947
えめらるど様
永遠に生きるが如く学べ(ガンジー)。
eme
色々と沢山の事を勉強なさっておられ、感服致します。
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