自燈明・法燈明の考察

牧場怪談で思う事⑥

 竈猫氏の山の怪談の話を続けます。
 六人の武装(?)した中学生たちは、自転車で山の牧場を目指しました。途中、冷え切った体をコンビニに立ち寄りラーメン食べて温めて進みました。そして目的地である山の牧場に着いたのですが、やはり明るかったので前の様に恐怖感はありませんでした。

 現場に着くと右手に母屋(廃墟)、そして道を挟んで左側に牛舎となっているのですが、竈猫氏は牛舎の中はどうなっているのか見てみたいと、牛舎を見ると上の方に明り取りの窓がありました。そこで壁際に自転車を立てかけて、明り取りの窓から中を覗きました。すると中は牛舎ではなく、まるで理科室の様な部屋になっていて、どう見ても牛舎を壁で仕切り、三分の一でその部屋を作っている様な構造でした。


 牛舎というのは、普通もの凄く臭いので、そこに部屋を作る事なんてありえないのですが、何故が壁で仕切られてそんな部屋が造られていました。また部屋中には棚に入っていたであろう瓶のかけらが落ちていて、中身であったろう黒いものが床に散乱しているのが見えました。すると仲間が来て「これからどうする?」と聞いていたので、人数を分けて分担して周辺を探索する事にしました。
 「牧場の周りを見てくる」と言い、バットと金属バット組(仮にA,Bとします)の2人が周辺へ行き、「じゃあ俺たちは(廃屋の)床をブチ破る」ツルハシ組(仮にC,Dとします)が廃屋へ行き、竈猫氏ともう一人(仮にEとします)は「俺たちは(廃屋の)2階へ行こうか」という事で廃屋の2階へ向かいました。

 廃屋の外観はとても荒らされており、2階も1階もサッシごと破壊されている感じとなっていて、竈猫氏とEで廃屋の2階へ行きました。廃屋の2階は薄暗くEが懐中電灯を点けると床の間の様な所に「骨壺」の様なものがあり、気味が悪かったので、それはそのままにして1階へ降りて行くと、そこではツルハシ組が「ドスン・バタン」とストレスを発散する様に作業をしていました。竈猫氏とEは「俺たちは牧場の方を見てくるわ」と彼らに告げ、廃屋を出て牧場の方に向いました。

 牧場へ向かうと金属バット組の二人が変な顔をして戻ってきていたのですが、「いや、ここ変だ」と二人が言うので「変て何が?」と聞くと「変な道があるんだよ」と言うのです。「どんな道?」と聞くと「いや、恐らく獣道だと思うんだけど、何か変なんだよな」との事。彼らも田舎の山育ちなので、変な道でも見分けがつくので「どんなの?」と聞くと「この間テレビでやってたミステリーサークルってあるじゃん。あれみたいに草が生えている」と言うのです。「え?渦巻でも巻いているの」と聞くと「とにかく見たら判るから来い」と言うので、その2人の後に付いていきました。その場所はススキ原で11月なので草は枯れていて、奥からは川の水の音がするのです。彼らが「ほら見てみろ」というので見てみると、草がU字型に生えているのです。このU字型とは、本来は真っすぐ生えている処、根本から曲がっていて逆アーチの様に曲がって生えているのです。11月で草枯れしている状態でこんな感じなので、これは枯れる前からこの状態なのかと思いました。

 ここで一旦、竈猫氏は廃屋へ戻りツルハシ組に「奥へ行ってくる」と言い、再度牧場に戻り奥へと進みました。すると双眼鏡を持った奴が後ろからついてきていたのですが、そいつが双眼鏡を覗いていて「うわ!!」と、何とも言えない声を発したのです。みるとそいつは腰を抜かしかけているので「何?どうした?」と声をかけると、そいつは指さしながら「あれ!あれ!」と言うので、その指を指した方向を金属バット組が見ると「うお!!」と声を上げました。竈猫氏もその指の指す方向にある獣道の奥を見ると、獣道の奥がカーブになっていて、その先から何かがひょいっと、こちらを見ていました。「何だろう」と思いよく見てみると、ツルツルの肌感で、身長が120センチほどの白目の無い大きな黒い吊り目の何かが、こちらを覗いていました。竈猫氏は反射的にその生き物にガス銃を乱射したのですが、ふと周囲を見ると金属バット組の他のメンバーはとっくに逃げ出していました。竈猫氏は「お前ら!こいつを置いて逃げるのか!」」と腰抜かした双眼鏡のメンバーをひっ捕まえて、急いで廃屋の方へと駆け出しました。

 廃屋の方へ行くと、ツルハシを奮っていたメンバーに「おーい!」と声をかけると、彼らも何か不思議そうな顔をして廃屋から出てきました。竈猫氏は「ここは何か変だ!変なのがいる!」と言うと、「いやいや変なのもそうだけど、こっちも変なんだ」とツルハシ組は言いました。竈猫氏は「いやいや、もうそれどころでは無いから帰ろ!帰ろ!」と言うと、ツルハシ組が「いいから、いいから、ちょっと見に来い」と言うので、後について廃屋へと入りました。そうして彼らがツルハシを振るっていた廃屋の中の階段裏の小部屋の床下を見ると、そこには「穴」がありました。その穴はパッと見て土管が斜めに刺さった感じの穴でした。深さはとても深く、石を投げると「カーン、カーン、カーン」と地下深く落ちていくので、もし落っこちたら上がってこれない様な穴なのです。
 「ところでお前らはどうしたの」とツルハシ組に聞かれたので、先ほどの状況を話をすると「そりゃ捕まえるべきだろう!」なんて言い出したのですが、とりあえずこの場は撤収する事にしました。

 これが竈猫氏の中学生時代に体験した事だったのです。

(続く)


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