東京都知事選挙もいよいよ佳境に入ってきている様ですが、やはり新型コロナウィルスの関係もあってか、表立った盛り上がり感には欠けますね。まあ私自身は東京都民では無いので、今回の選挙については傍観者という立場ですが。
創価学会の男子部時代の私であれば(且つ二十代から三十代前半という限定で)、選挙は有無を言わさず「公明党は支持決定した候補」の応援という事になると思いますが、当時の創価学会では、いわゆる首長選挙(地方自治体の長。知事)について公明党は自主投票という原則でしたので、その時々に考えて投票をしていました。
しかし最近では公明党や創価学会も、首長選挙にもクビを突っ込み始めていますので、その状況は変化していますね。
前回の都知事選挙では、都心部の組織の婦人部幹部あたりは「小池だけは都知事にしてはいけない!!」なんて会合で力説していた事を耳にしていますが、まあ都知事選の結果、小池都知事が誕生すると、都議会公明党のすり寄り方は半端なかったと私は記憶しています。
なんなんですかね。
まあ、そんな事はさておいて、この都知事選挙においても「れいわ新選組」が話題を集めていて、山本太郎候補なんかも精力的に熱い演説している様子をよく見ます。一般人目線で見れば、山本太郎氏は、その語る内容やそのキャラクタは受けが良いのかもしれませんが、私が思うに政治家は理念とビジョンを持つべきであり、そういう観点では山本太郎候補は申し分ないかもしれません。しかし政治家で都知事という立場になれば、当然、東京都庁という官僚組織を動かしていく必要が有る訳で、その為のブレーンが果たして彼の人の周囲に居るのか、そこが大きな疑問点です。
一つ例を挙げれば、アメリカの大統領選挙では、選挙結果により日本の各省庁の局長クラスが全て入れ替わると聞いています。要は大統領の下には、それだけ厚いスタッフ層を持っているという事ですね。もし持っていなくても、大統領が人選して任に当てるので、それだけの人脈層を持っているわけです。
東京都知事選挙でも同様な事が必要。そこまでは言いませんが、やはり周囲にブレーンを持っているのか、人脈層があるのか、そこはとても重要だと思うのです。
以前、民主党で鳩山由紀夫氏が総理大臣となりました。
その時に「沖縄米軍基地を県外に」とぶち上げたのは有名な話です。しかしその公約は即座に頓挫して、はやばやと鳩山内閣は「レームダック」となってしまったのは、皆さん、記憶している処ではありませんか?
これもひとえに鳩山由紀夫氏の周辺に有能な「ブレーン」が居なかった為ではないか。私はその様に思えました。
まあ後に鳩山氏は「週刊・プレイボーイ」の紙面で、内閣府の当時の官僚に対して不満を述べていましたよね。「(内閣府の)官僚たちはどこに忠誠心を持っているのかわからない」という様な言葉を。まあ現実の話として、日本の官僚組織は日米合同委員会という組織で、アメリカ太平洋軍と定期的な会合を持っているので、沖縄県のアメリカ軍基地を県外移設なんて、いきなり言った処で反故にされりのは当たり前で、総理のプレーンはそんな基本的な事ですら鳩山氏を守れなかったのか、何をやっていたのか、という事だと思うのです。
この辺りについては、恐らく小池現都知事の方が、良い悪いは別にして一歩抜きん出ている様に私は思えます。宇都宮候補の周囲には既存の野党が集まっていますが、私は現在の野党には何ら期待すらしませんので、ここでは割愛します。
あと山本太郎候補の周囲には、三色旗を片手に集まっている人が、そこそこ居ます。彼らにすれば、過去に夢見させたくれた公明党の理念の残滓を山本太郎氏に重ねている様ですが、もう少し冷静に政治を観る必要があるのではないでしょうか。
民主主義でいう選挙というのは、自身の政治的な代弁者を選挙民が選択する行為です。政治にかける想いとは、人によって異なるものです。だから全てに置いて最大公約数的な政策を取りうるという事であり、すべての人々の理想を一人の候補で体現するという事は有り得ないと思います。また政治であれば、当然、他の権益者との利益調整が入ります。
これを一般的に「政治的な妥協」とも呼びます。
だから選挙で選択するのは常に「BETTER」であり「BEST」は有り得ないでしょう。その為に常に政治を監視して、選択した人を評価する目線が必要なのです。だから私は熱狂的な選挙運動という事に少なからず危惧を抱いてしまうのです。そしてそこに熱狂的な運動をする政治家の脆弱性を見てしまいます。
実は選挙に於いては、冷静な目線で候補者を見ていく事が、とても大事であり、そんな冷静な支援者を多く味方に着けられる様な選挙運動が本当は必要なのではありませんか。いわゆる「ウォーム・ハート、クール・ヘッド」ですね。
私は選挙に於いてサイレント・マジョリティを味方につけるには、そんな選挙運動である必要があると思っています。
あと最後に一つ。
野原義正氏等を巻き込んで、山本太郎陣営は、公明党の支援層に切り込みをかけるつもりなのかもしれませんが、創価学会の選挙というのは、そんなに生易しいものではありません。以前にYouTubeで野原氏の選挙活動を見ましたが、結果として公明党の支持層の表面を撫でる程度でしか影響は与えていませんでした。
また野原氏にしても政治を見て動いている様に見えず、やはり彼は「古(いにしえ)の創価学会が幻想させた選挙」の目線でしかないように思え、社会に対する認識が未だ浅いように思えました。
以上が都知事選を通して、私の政治に対する考え方の一端です。まあ五十代のオヤジの戯言だと思って頂けたら幸いと思います。