自燈明・法燈明の考察

いまの日本の危機の奈辺にあるもの

 まあ私も暇人なもので、仕事の合間にX(旧Twitter)を覗いてしまう訳です。すると岸田総理に対する怨嗟が結構溢れかえっているのを目にします。先日もウクライナ経済復興推進会議で日本が7分野でウクライナの経済支援をする事を表明、そこでは国際協力銀行(JBIC)による黒海貿易開発銀行(BSTDB)を通じて最大1.5億㌦(約225億円)のツーステップローンの供与などを約束していたりします。

 今年の初頭に能登半島地震で被災地の復興もままならない中、何故日本が遠きウクライナの為にこれだけの経済支援をするんでしょうか。

 それだけではありません。岸田内閣の盛山文科相が統一教会との関係が表面化したのにも関わらず不信任案は否決されてしまいました。去年にあれだけ大騒ぎされた統一教会の問題があったにも関わらず反対300票で否決って、どういう事なんでしょう。岸田総理も文科相の「続投」を容認している事自体が意味不明です。

 それだけではなく自民党清和会の裏金問題でも、結局のところ主要議員などにはお咎めなし。そんなこんなで岸田内閣の支持率は14%で、一昔前であれば内閣総辞職か衆議院解散にもなる様な状況にも関わらず、この岸田総理を首班とした内閣は微動だにしません。

 これではネット上で怨嗟の声も上がろうってものでしょう。

 こんな状況なんで立憲民主を中心に「政権交代」という声も上がっていますが、そんな事に国民は期待の「き」の字も上げず、ほとんど諦めきっている感じです。

 中には自民党内で「次の総理は誰が良いか」なんて事も言われていますが、恐らく自民党の誰が政権の舵を取ろうと、この日本の現状は変わりないでしょう。菅前総理も相当やばい総理大臣でしたが、岸田総理はそれに輪をかけてヤバい総理大臣だと思いませんか?

 恐らく次の総理大臣が誰になろうと、岸田総理よりももっと劣悪な状況になってしまう事を私は危惧しています。

 一方で「れいわ新選組」の山本代表だ何だと言う話も出ていますが、私が思うにこの日本の救いようの無い現状の根っこには、もっと根深い要因が存在しますので、たとえ山本代表が総理に成り得たとしても、日本の現状なんてそう易々と好転なんてしないでしょう。恐らく「霞が関官僚」からサポタージュを受けて敢え無く潰されるのがオチと云うモノです。

 この辺りは日本の近代史の中を少し見て行けば、誰でも解る事だと思いますよ。

 これは何も日本一国だけの問題ではなく、恐らくグローバルな底流の上で起きている事象なので、頓服の様に一気にこの混乱した社会が好転できる事ではありません。よくよく近代史を見て、国際動向の社会に目を凝らせばわかる事ですが、底辺には「資本」というものが確実に存在し、恐らく人類社会全体として「資本」に踊り狂わされている事によるものではないでしょうか。

 ここで私は鎌倉時代の仏教僧、日蓮の言葉を思い出してしまいます。
 ちょっとその内容を紹介しましょう。

「此の世界は第六天の魔王の所領なり一切衆生は無始已来彼の魔王の眷属なり、六道の中に二十五有と申すろうをかまへて一切衆生を入るるのみならず妻子と申すほだしをうち父母主君と申すあみをそらにはり貪瞋癡の酒をのませて仏性の本心をたぼらかす、但あくのさかなのみをすすめて三悪道の大地に伏臥せしむ、たまたま善の心あれば障碍をなす」
(兄弟抄)

 ここではこの世界は「第六天の魔王の所領」だと言っています。第六天の魔王とは仏教で仏の対極に存在する魔の親玉の事で、またの名を「他化自在天」と言います。「魔は天界に住む」という言葉もありますが、これは人の心の喜びの中の存在している事を指しています。「他化自在」とは、他者を自在に操れる事を意味しており、現代で言えばこれは「資本」を指していると言っても良いでしょう。何故ならば人は「資本(お金)」の為に容易に操られてしまいますし、善心すら容易にかなぐり捨ててしまいます。

 この世の中を日蓮は「第六天の魔王」の所領(領地)だと述べ、そこに住む私達は大昔からその眷属(手下)であると言うのです。六道とは感情のままの心の動きを指します。そして二十五有とは欲望に纏わる様々な世界ですが、この欲望も肉欲や物欲の他、名誉欲など精神的な欲望も含まれています。それらが人々を「牢獄」の様に捕えているだけでなく、そこに「家族」「社会的な人間関係」という「絆(これは牛の鼻かんにつける紐です)」を打ち付け、貪瞋痴と言う正しい見識を持てなくする様な酒を飲まして、人々を惑わせていると言うのです。

 どうですか、結構的確な表現だとは思いませんか?

 そして人々の中で希に「善の心(正しい見識)」を持つ人が現れれば、この化他自在天は邪魔を仕掛けてくると言うのです。

 要は一番の問題とは「資本」に容易に踊らされてしまう「人の心」にこそ、大きな原因があるという事ではないでしょうか。私はこの日蓮の言葉を読んだ時にその様に考えたのです。

 そもそも「資本」とは何なのか。そこを学術的に考えてしまうと、こんなブログで書き尽くせなくなってしまうので、簡単に「資本=お金」として考えてみましょう。

 「お金」とはそもそも物々交換で互いに得ている価値あるものを交換する「道具」として発明されたものです。しかしそれが集まり大きくなり、それ自体が人間社会の中で力を持ち始めてしまい「資本」と呼ばれるものになった。そして多くの資本を得る立場の人が「富豪」と呼ばれ、その「富豪」が今の世界を自分達の思うがままにしようとしている。

 それが今の世界の構造になっていると思いませんか?

 毎年スイスのジュネーブで開催されるダボス会議(世界経済フォーラム)が、世界の動きを決めていると言われていますが、恐らくそれは正鵠を得た言葉でしょう。既に今の世界で「経済的」に国境は無くなってしまいました。経済は国家の枠組みを越えて動いています。そしてその経済を動かしているのは、世界のごく一部の「富豪(富裕層)」であり、その思惑で世界の動きは決められています。恐らく近年の日本の政治的な混乱というか弱体化も、このあたりで画策されたものではないでしょうか。

 こんな事を語ると「何や、所詮は陰謀論者か」と思われる人もいるかと思いますが、この今の世界で起きている一つひとつの事象について、少しでも深堀して考えていくと、誰てもこういった結論に辿りつくと思います。おそらくこの話すら「陰謀論」と切り捨ててしまう人は、そこまで社会の有様を深堀して考えた事が無い人だと私は思うのです。

 私は何も地位も無ければ権力も持ち合わせておらず、悲しいかなどんな事をここで言ったとしても、この体は日本国という社会の枠組みに縛り付けられ、しかも嫁と娘2人、あと猫3匹を養っているしがないサラリーマンです。国の法律で決められてしまえば、それに反抗する事も出来ずに従えられてしまうでしょう。

 しかし例え体がそうであったとしても、自分自身の心の自由だけは、持ち続けられる人間でありたいと最近は強く思うのです。そしてその為にも、この世界の奈辺にある事については、常に目を凝らしていきたいと思います。


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