新型コロナ禍の終息が見えない中ですが、どうも日本の為政者たちの危機感というか、緊張感が見えない様な状況が続いています。先の公明党の遠山清彦氏にしてもそうだし、自民党議員の深夜銀座の徘徊にしてもそう。また今回の新型コロナ対策用アプリの不具合についても、厚労省が動作確認をしていないというのも、この事にあたると思います。
陰謀論では「新型コロナは存在しない」というのもありますが、日本の為政者たちのこの緊張感の無さを見ると、この陰謀論も、さもありなんと思えてしまうのは、私だけでしょうか。
この新型コロナ禍では、様々な事が起きていますが、それらの事が指し示しているのは、一人ひとりが「賢明な思考と行動が出来るか」という事ではないかと思えてなりません。それを今、人類は突き付けられているのかもしれません。
さて今日の本題です。日蓮は兄弟抄で以下の言葉を述べています。
「心の師とはなるとも心を師とせざれとは、六波羅蜜経の文なり」
これは釈迦の遺言の言葉を引用しての文ですが、これは意外と誤解して理解している人が多いのでは無いかと思うのです。まず釈迦の遺言という事で言えば、以下の言葉があります。
「自らを灯明とし、自らをたよりとして、他をたよりとせず、法を灯明とし、法をたよりとし、他のものをよりどころとせずにあれ。」
（涅槃経）
この言葉は、私のブログのタイトルにもしている言葉なのですが、少し読んてみると、先の「心の師云々」という言葉とこの自灯明法灯明の言葉は、相反する言葉にも思えてしまいます。
先の言葉を読むと、自分の心に従う事をせず、その心をコントロールする事が大事だと思えますし、後の言葉では法を頼りにした自分の心を頼み歩みなさいという事になっています。かたや自分を信じるなと言い、かたや自分を頼りにして進めという。これは両方の言葉をよく吟味すれば違う事が分かるのですが、どうも誤解している人が多いと思えてならないのです。
先の言葉「心の師とはなるとも」を引用し、創価学会や宗門などでは、自分自身の判断で行う事は「我見」であると戒め、創価学会では永遠の指導者「池田先生」の言葉と、それに基づいた組織の指導に従う事を要求し、宗門では「正しき血脈付法の猊下」に連なる僧侶の指導に従う事を要求しています。
つまり両方の組織ともに共通するのは、「勝手に判断して動くな」という事ですね。
しかしあとの涅槃経の言葉「自らを灯明として」で述べているのは、釈迦の残した教え（法）を拠り所として、「他をたよりとせず」とある様に、他者ではなく自分自身を信じて進む事を述べています。ここで考えなければいけないのは、法の解釈は自分自身で解釈するという事であり、その解釈した自分の心を信じて進めという事を言っている事です。
つまり涅槃経で残されている遺言では、「常に自分自身で、法に基づき動いていきなさい」という事なんですね。
あらら、同じ釈迦の言葉でも相反する言葉を言っている。
そういう事ではないのです。先の言葉の「心の師とはなるとも」の「心」とは、周囲の環境に右往左往し紛動する心を制御する「強い心」を持つ事を述べているわけで、周囲の環境に紛動する心に基づいてはいけないという戒めの言葉であって、けして自分自身で判断するなという否定的な言葉ではないです。
仏教とは常に「内道」です。内道とは自分自身の心の中に道を求めるという教えであり、そのヒントとなるものが経典であったり、論釈であったりするわけです。だからそのヒントを元に自分自身、紛動する心を統率して、自分らしく人生を生きていく。そういう教えだと思います。
まあ得てして宗教団体とは、信徒を意のままに動かしたいという「宗教貴族」が牛耳る訳で、創価学会にしろ宗門にしろ、そういう自組織都合の教えを、自らの宗教組織の権威を背景に、信徒に刷り込んできたんでしょうね。
「我見」という言葉は、創価学会にしろ宗門にしろ、組織に従順な信徒や幹部が言う言葉である事から、そんな事は理解できます。
人生は生まれてくる時も一人、死んでいくのも一人です。だからこそ自分自身を賢明にして、心強くある必要があるのです。だからその「心」が他者に依存してしまうという事ではいけないと思うのです。（もちろん、参考にする事は大事ですけどね）
一番初めに言いました。新型コロナ禍とは一人ひとりが「賢明な思考と行動が出来るか」を問われているとすれば、この仏教の本義についても、考えてみる必要があるのではないでしょうか。
