米英豪などファイブアイズ、中国のスパイ行為対処で秘密合意
2018.12.29
【シンガポール】米英豪とニュージーランド、カナダで機密情報を共有する枠組み「ファイブアイズ」が
今年7月に5カ国の情報機関トップによる会合を開き、中国によるスパイ活動への対応で合意し、
その脅威を公表する方向で秘密協議をしていた-。
豪紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(電子版)は29日までに、中国通信機器大手、
華為技術(ファーウェイ)などの事実上の排除を決めた豪州政府の対応の背景を報じた。
同紙によると、5カ国の情報機関トップは7月17日、カナダのノバスコシア州にある安全が
確保されたリゾート地で、年次の非公式会合を開いた。カナダのトルドー首相も顔を出し、安全保障上の
脅威について意見交換したという。
英秘密情報部(通称MI6)のヤンガー長官は、英南部でロシアの元情報機関員らが神経剤で襲撃された
事件の詳細な証拠を提示。事件を公表し、ファイブアイズがまとまって対応したことが、友好国による
露外交官の追放など、ロシアの諜報能力への対抗につながったと成果を強調した。
会合では、2001年の米中枢同時テロ以降、はびこるスパイ活動への対応が、テロ対策の影で
おろそかになっていたことが指摘された。情報機関トップ5人は、台頭している最も大きな脅威は
中国共産党だと結論づけたという。
参加者で、中国に最も強硬的な姿勢だったのは、米国のハスペル中央情報局(CIA)長官だったとされる。
会合で5カ国は、中国の脅威を公表するところまでは意見集約できなかったが、対処行動に出ることでは
一致した。
その後、豪州のターンブル首相(当時)はトランプ米大統領に電話をかけ、華為や中興通訊(ZTE)を
第5世代(5G)移動通信システムから排除する決定を通達し、豪州政府は8月23日にこの決定を発表。
ニュージーランド政府も11月28日、同様の決定を示した。英国やカナダの情報機関トップも
中国を念頭に、通信機器を使った諜報活動の危険性を公の場で語り出している。
また会合では、ファイブアイズの情報共有に、日本やドイツも参加させていく方向が確認されたという。
日本政府は今月、華為などを政府調達から事実上排除する方針を決めた。
https://special.sankei.com/f/international/article/20181229/0001.html?_ga=2.33251646.1889677657.1545956869-988685402.1508310591