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アレッポに冬到来、空爆被害に寒さ追い打ち シリア内戦開始から5回目の冬、住民はがれきの中から木を探す

2016-11-26 19:13:23 | 戦争・内戦・紛争・クーデター・軍事介入・衝突・暴動・デモ

アレッポに冬到来、空爆被害に寒さ追い打ち

シリア内戦開始から5回目の冬、住民はがれきの中から木を探す

2016 年 11 月 25 日 11:19 JST THE WALL STREET JOURNAL

空爆で大破した建物のがれきの中から燃やせる物がないかを探す住民

シリア北部の激戦地アレッポでは、空爆で大破した建物から生存者を救出し、遺体を収容し終わると、人々ががれきの山に殺到する。何か燃やせる物がないかを探すのだ。


 5年以上に及ぶ内戦で住民が窮状に追い込まれているアレッポでは、冬を迎えて気温が徐々に下がっている。燃料は不足して価格が高騰しており、住民たちは燃やせる木を探し回っている。樹木を見かけること自体が少なくなっているため、薪(まき)の価格はかつての10倍に跳ね上がっている。


 2児の母親である教師のタハニー・アリカージさんは、「近所の家が空爆されると、生きている人はそこに行って、がれきの中から物を持ち去る。燃やせる物は、もう建物と寝室のドアしか残っていない」と語った。


 アレッポ東部の反政府武装勢力が支配する地域は今年7月以降、アサド大統領の政府軍に包囲されている。そこには30万人近くが暮らしているが、住民の窮状に寒さが追い打ちをかけている。

1週間もたてば、状況は極めて深刻になるだろう

—反政府活動家のモジャヘド・アボ・アルジュード氏

 

 アサド政権軍とそれを支援するロシア軍は先週、アレッポ東部への空爆を再開。反政府勢力を投降させようと何百発もの迫撃砲も浴びせている。

 

 反政府勢力側によると、この攻撃はアレッポの前線で政府軍に大きな前進をもたらしていない。しかし、住民が直面する非人道的な状況は一段と悪化している。東部では食料が既に不足し、病院も繰り返し空爆の標的になっていることから、閉鎖を余儀なくされている。


 アレッポ東部で唯一機能していた病院も19日に閉鎖に迫い込まれた。これ以降、医師は間に合わせの施設で被害者の治療にあたっているほか、助産師は家で赤ちゃんを取り上げている。


 寒気の到来は例年よりも早く、空爆で破壊された地下水道管から流れる水をためる場所には、すでに氷が張っている。


 国連シリア担当特使の特別顧問を務めるヤン・エーゲラン氏は24日、食糧と医療物資を載せた救援車両をアレッポ東部に向かわせる用意はできているが、現在もシリア政府からの承認を待っている状態だと述べた。反政府勢力は既に輸送に同意しているという。


 同氏は記者会見で、「包囲された地域の住民から、ますます深刻な状況になっているとの声が寄せられている。(内戦開始から)5度目となる今回の冬は、シリアの住民、そして非常に長い間包囲されているこれら地域の住民にとって、これまで以上に最悪なものになるろう」と述べた。


 木を燃やして家の中を温めることができない住民は、衣服を何枚も重ね着し、毛布にくるまって家の中に閉じこもっている。

 

 アレッポで教師をしているアブダルカフィ・アルハムドさんは、「どうやって暖を取っているのか聞くと、誰もが同じことを言う。毛布だ。問題は、毛布だと幼い子をうまく温められないことだ」と語った。

 

 反政府活動家のモジャヘド・アボ・アルジュード氏は、住民が置かれた厳しい状況は空爆によって一段と絶望的になったと話す。「今はまだ耐えられる気温だが、寒さがだんだんと厳しくなるのは分かっている。1週間もたてば、状況は極めて深刻になるだろう」