「ゴールドトラップ」 なぜ世界中で金の購入が加速しているのか?
ロシアは金の保有量で初めて中国を抜き、上位5か国に入った。2019年7月1日時点で、
ロシア連邦の金の保有量は2208.35トンに達した。他の国も積極的に金を購入している。
しかし、ロシアにとって金への投資はまず何よりも通貨と制裁のリスクを中和する試みであるのに
対して、他国の中央銀行は起こりうる経済危機に対する保険としてこれを購入している。
2019年2月のワールド・ゴールド・カウンシルのデータによると、世界最大の金保有国は、
米国(8133トン以上)、ドイツ(3369トン以上)、イタリア(2451トン以上)、
フランス(2436トン以上)、 中国(1864トン以上)となっている。
近年、トルコ、インド、カザフスタン、エクアドル、カタール、コロンビアも金の積極的な購入を
始めている。
<2019年4月のランキング>
ワールド・ゴールド・カウンシルは今年春、金の購入ペースを分析した上で、中国やロシアなどの金を
積極的に購入している国々が世界経済に「ゴールドトラップ」を作りだしていると懸念を表明した。
明らかに、各国はこのような方法で世界経済危機から身を守り、米ドルへの依存を減らしようとしている。
しかし、結果的に、金保有量の増加は、金が主要な決済単位の地位を取り戻し、金価格が高騰する
ことにつながる。通貨の下落は債務市場の崩壊を引き起こし、その結果、世界経済全体の崩壊を
引き起こす。
専門家によると、中国とロシアの金保有量は世界の金保有量の約18%を占めているという。
実際、ロシアは2019年第1四半期だけで金保有量を145.5トン増加させている。
2018年同時期比で68%の増加である。
そしてこれは米国債への投資の減少と連動している。2019年6月、ロシアは米国債への投資を
10億ドル削減した。2018年を通じてロシアは米国債への投資を大幅に減少させ、米国債保有国
トップ33から脱落した。6月の米国債の保有者リストのトップは日本であり、次いで中国とイギリスが
続く。
7月末、ロシアのプーチン大統領は、法人だけでなく、個人に対しても、金地金を購入した際に
課される20%の付加価値税を廃止する法律に署名した。ロシアではドルに変わる貯蓄手段を作る
必要性が生じており、金がそのような手段になる可能性があると法案作成者は考えているのだ。
彼らの試算によれば、個人による金需要は、現在の年間3~4トンから50トンに増加する可能性が
あるという。
どうやら、金に賭けるのが唯一の正解のようだ。思い出してもらいたいのは、ベネズエラで危機の
試みがあったとき、イングランド銀行が現職大統領のニコラス・マドゥーロに12億ドル相当の
金地金の返還を拒否したことである。ブルームバーグによると、これは、マドゥーロの海外資産への
アクセスをブロックするようにというアメリカの高官からの切なる要請で行われたものである。
イングランド銀行の金保管室
ロシアの場合、金はすべてロシア国内に保管されているため、ロシア銀行はこのようなリスクから
守られている。しかも、ロシアは中国とオーストラリアに次いで、金の生産量で世界第3位につけて
いるのだ。
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英中銀、ベネズエラ資産約1300億円の引き出しを拒否-関係者
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ベネズエラは大統領が2人並び立つ異例の事態
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中銀が保有する外貨準備80億ドルのうち金12億ドル相当は大きな割合
ベネズエラがイングランド銀行(英中央銀行)に預けている資産の引き出しを英中銀が拒んでいる。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。政局の混迷が続くベネズエラは、大統領が2人並び
立つ異例の事態となっている。
米国はベネズエラの野党指導者グアイド国会議長を暫定大統領として23日に承認。英国も米国に追随
した。英中銀はベネズエラ資産の扱いについてコメントを控えた上で、金管理を含めた銀行業務を
「非常に多くの顧客」に提供しており、顧客との関係にはコメントしないと説明した。