室谷克実氏:新・悪韓論より・・・韓国ナショナルデー参加者の「格」ガタ落ち 「黄昏の国運」象徴か 他国の欠礼を怒り、自国の無礼は語らず
儒教の悪い面だけ集大成したような国とは、言い過ぎかもしれないが、韓国人が「序列(ランク)絶対文化」に固まっているのは、儒教の影響だろう。そうした国民にとって、ナショナルデー(国の記念日)への参席者のランクが、ガタ落ちしたことは、よほどのショックであるようだ。
外交の上でナショナルデーとは、在外公館が盛大なレセプションを催し、当該国の政府要人、経済人、他国の大使らを一堂に集め、国威を示す場だ。国軍記念日のパーティーとともに、在外公館の一大イベントだ。
韓国のナショナルデーは10月3日の開天節(ケチョンチョル=建国記念日)だ。5000年前、天帝の庶子と熊から化身した女性との間に生まれた檀君が国を開いたとされる日だ。
在外公館は、その国の政治日程や行事をにらんで、10月3日の前後にレセプションを開く。
北京の韓国大使館は、10月19日に、開天節と、国軍記念日(本来は10月1日)を兼ねたレセプションを開いた。
ところが、中国外務省は「次官級が出席」の前例を破り、「課長級が出席」した。他の省庁も、申し合わせたかのように「課長級以下の出席」だった。このため、メーンテーブルがガラガラのレセプションになり、韓国は自尊心を痛く傷つけられたようだ。
これに先立ち、ソウルで開かれた中国のナショナルデー(国慶節)のレセプションには、韓国外交省の次官が出席した。「それを知らないはずがない中国のこの日の行動は欠礼だ」と、朝鮮日報(韓国語サイト、10月21日)は怒り心頭で書いている。
しかし、ソウルで開かれた日本のナショナルデー(自衛隊創設記念日)では、2014年、ロッテホテルが会場引き受けをドタキャンした。さらに、大使公邸で開かれたレセプションにデモ隊が押し掛けた“国民的無礼”に比べたら、「中国の欠礼」などかわいいものではないか。
東京では10月3日に韓国ナショナルデーのレセプションが開かれた。「入った瞬間、驚いた。あまりにも寒々としていたからだった」「代理人を通じて名刺だけ渡した“あいさつの実績”を残して消えた人たちを除けば300~400人足らずのように見えた。そのうえ、大部分は韓国側の人物だった」と、中央日報は10月20日になって書いている。ショックのあまり、なかなか書けなかったのかもしれない。
それでも、序列絶対文化の国らしく続けている。
「(2010年の行事には)公式集計1300人余り。数字に水増しはなかった。格も違っていた。鳩山由紀夫元首相、仙谷由人官房長官ら政界の核心人物らがみな集まった」
「11年には、玄葉光一郎外相が参加し…“韓国礼賛論”を繰り広げる玄葉外相に、韓国側の出席者は歓呼した」
ところが、「最近5年間、官房長官→外相→官房副長官(次官級)→外務審議官(次官補級)へと“格下げ”している」と。
韓国型儒教精神がみなぎる記者たちは「黄昏(たそがれ)の国運」を実感しているのかもしれない。
黄昏を本当に実感できたとしても、自国に原因があると反省しないのですよ。
中国の欠礼だ、日本はけしからん、という思考回路がないのです。
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■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。