中国、朝鮮有事への影響懸念 露に配慮、対話呼びかけ
2018.4.14 23:11 産経新聞
【北京】中国外務省は14日、米英仏のシリア攻撃について「国連安全保障理事会を通さない一方的な軍事行動は
国際法違反である」と批判するコメントを発表した。背景には、朝鮮半島でも同じことが起きかねないとの危機感や、
「全面的な戦略パートナーシップ」を結ぶロシアへの配慮がある。今後、北朝鮮問題同様、シリア問題でも対話による解決を
強く求めていく構えだ。
外務省の華春瑩報道官は同日、シリアでの化学兵器使用疑惑に関し、「全面的で公正、かつ客観的な調査を実施しなければならない」
と主張、シリア問題の政治的解決を関係各国に呼びかけた。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)も同日、米英仏のシリア攻撃について
(1)国連の決議に基づかない軍事行動である
(2)米国には虚偽の情報に基づきイラク戦争を始めた前科がある-などと批判的に報じた。
中国が懸念するのは「朝鮮半島で同様の事態が発生すること」(外交筋)だ。米朝首脳会談が決裂した場合、トランプ米政権が
北朝鮮への攻撃に踏み切る可能性が取り沙汰されている。
習近平国家主席には昨年4月の訪米中にトランプ大統領がシリア攻撃を開始、対北朝鮮制裁への協力を迫られた苦い思い出もある。
現在、米中両国は貿易摩擦や台湾、南シナ海問題をめぐり対立している。
対照的に中露両国は「全面的な戦略パートナーとして、国際情勢が複雑になればなるほど協力を強化する必要がある」
(中国の王毅国務委員兼外相)と緊密な関係を維持している。
環球時報(電子版)は14日、「ロシア軍が駐留するシリアへの攻撃」は「ホッキョクグマを平手打ちする」ことであり、
「傲慢な行動は極めて危険だ」と批判した。