アリババ馬氏は「共産党員」、衝撃的な公表なぜ?
中国共産党機関紙の人民日報は26日、中国経済の近代化に貢献したとする表彰者の一覧を掲載。
その中で、電子商取引大手アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏を共産党員と紹介した。
マー氏が共産党員であるとのニュースは、同氏やアリババに関する書籍の執筆者を含め、多くの人に
驚きを持って受け止められている。
ビジネスコンサルタントで、マー氏のアリババ創業に関する著作もあるダンカン・クラーク氏は
「これまでにもそういった臆測はあったが、何も公にされていなかった」と話す。
「マー氏が共産党員であることに触れたことはなかった。彼の野心や海外向けの顔といった面を踏まえると、
それを曖昧にしておくことが最善だという感触があった」
実際、マー氏は当局としばしば距離を置いてきた。2015年のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)の
合間に行ったインタビューで、中国政府との対応に関して、社員にこうアドバイスしている。
「愛せよ、だが結婚はするな」
アナリストの間では、共産党の信頼を高めることを狙った宣伝活動の一環として、マー氏が党員だと
明らかにされたとの見方も出ている。中国当局はアリババのような民間企業よりも、国有企業を
優遇するとかねてから考えられているためだ。
マーブリッジ・コンサルティング(北京)のマネジングディレクター、マーク・ナトキン氏は、
共産党は影響力拡大を狙った取り組みを強化しており、マー氏が共産党員とのニュースも、
こうしたタイミングに重なると指摘する。
ナトキン氏は「共産党は経済界のあらゆるところで、支配と影響力を強めようとしている」とし、
「市場での円滑な事業運営を継続するのと引き替えに、政府から共産党バッジを身につけるよう圧力が
強まるだろう」と述べる。
マー氏が9月、1年後にアリババの会長職から退くと発表した際には、共産党から引退を強要されたとの
臆測が浮上。マー氏はその後、こうした見方を公の場で否定している。
前出のクラーク氏は、共産党は習近平国家主席の下で、その卓越した役割をあらためて確立しようと
狙っており、人民日報がマー氏は共産党員と伝えたことは「時代を物語るものだ」と指摘する。
「習氏の下では『共産党が第一』だ」とし、「ジャック(マー氏)はもちろん、必要なときに、
求められていることを話す術を心得ている」と述べた。
共和党員は党の利益を最優先することを義務づけられており、マー氏が共産党の命令とアリババ株主の
利益との間で選択を余儀なくされるようなケースが生じた場合、どうなるのかといった疑問が生じる。
アリババの広報担当はこれに対し、「政治的な所属が会社の決定プロセスに影響を及ぼすことはない」
と答えた。広報担当者は、マー氏がどのくらいの期間、共産党員なのかについては答えることができなかった。
アリババが2014年に上場する際の目論見書では、マー氏が共産党員だとは記されていない。