国民の過半数が国外流出? トルクメニスタン、中国の「債務のわな」で経済低迷
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【モスクワ】閉鎖的で強権的な政治体制から“中央アジアの北朝鮮”とも呼ばれる旧ソ連構成国、
トルクメニスタンで、経済危機により同国の推計人口550万人のうち300万人以上が国外流出し、
国内には200万人しか残っていない-とする専門家の見解を、ロシアの有力紙、独立新聞が伝えた。
主要な外貨獲得源である天然ガスのパイプライン建設で中国に債務を抱え、ガスを安価で買い
たたかれる、いわゆる「債務のわな」に陥っていることが経済危機の主な要因だという。
5日付の独立新聞は、トルクメニスタンを離れた移民がベルドイムハメドフ大統領に政治・経済の
改革や開かれた選挙を求める組織「自由への道」を設立し、同国移民の多いトルコ・イスタンブールで
第1回総会を開いたと報じた。
独立新聞は、同団体のサパルムラドフ代表の見解を紹介。同氏は「2016年以降、経済低迷で
出稼ぎ目的の移民が増えている。トルコは毎月2万~2万5千人の移民を受け入れているほか、
新大統領が誕生して経済が好調な隣国ウズベキスタンやロシアへの流入も増えている」と指摘。
概算によると、550万人とされる国民のうち200万人しか国内に残っていないという。
別の専門家も、この概算は事実だと認めた。
独立新聞は「トルクメニスタン政府は国民流出について沈黙しており、約2年前の人口調査の結果も公
表していない」と伝えた。
独立新聞の複数の報道によると、トルクメニスタンで経済危機が深刻化したのは16年で、
同国から天然ガスを購入していたロシアが価格を理由に同年に輸入を取りやめ。
主要輸出先だったイランも代金未払い問題で失った。
中国が最大の輸出先になったが、中国へのガスパイプライン建設で40億ドル(約4400億円)の
債務を抱えたほか、購入価格も非常に安いという。経済の悪化で、トルクメニスタンは1993年から
続けてきた電気・水道・ガスの無料制度を今年から廃止。実質失業率が60%に上るとの情報もある。
現地消息筋は取材に「移民問題が起きていることや街から人や店舗が減っていることは事実だが、
300万人も流出したかは分からない。報道が統制下にあり正確な情報がないため、噂が一人歩き
している可能性もある」と指摘した。
同国は91年に旧ソ連から独立。天然ガスの推定埋蔵量(2017年末時点)が世界4位の
約19兆5千億立方メートルの資源大国だが、資源依存が強く、産業の多様化は進んでいない。
17年の国内総生産(GDP)は約423億ドル。06年にベルドイムハメドフ氏が実権を握って以来、
強権統治を続けている。国際人権団体は「最も抑圧的な国の一つ」と位置付けている