中国系俳優、日本軍の侵攻を「擁護」する投稿を謝罪
2019年04月5日 BBC
中国系スウェーデン人俳優の趙立新さん(50)が、日中戦争時代の日本軍の中国侵攻を擁護
するような投稿について、「不適切な表現」だったと謝罪した。
趙さんは2日、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」で、1937年から1945年まで
続いた日中戦争時代の日本軍について書き込んだ。
「日本人は北京を8年間侵略したのに、なぜ北京の故宮博物院の文化財を奪ったり、焼き払ったり
しなかったのか? これは侵略者らしいと言えるだろうか?」
これに対しインターネット上では、「自分のルーツを忘れている」などといった批判が
殺到した。当該の投稿はすでに削除されているが、スクリーンショットが拡散されている。
日中戦争では、日本軍は北京や、その他の中国の主要な港や都市を占領していった。
中国河南省生まれの趙さんはスウェーデンで育った後、中国に戻り、俳優として成功を収めた。
初めて出演した作品は、1994年公開のスウェーデン映画「Vägen ut」(英語題:Breaking Out)
だった。
趙さんが国外で活動していた時期が、中国での批判の対象になっているようだ。
ある人は「あなたは自分のルーツが中国人だということを忘れている」、「中国で生まれた
ことも、自分の両親が中国人だということも忘れてしまっている」と投稿した。
別の人は、「中国人じゃないあなたに、中国の代弁なんてできない」、「日本の中国侵攻が
どれほどの被害をもたらしたのか、何も理解していない。この国の歴史をよく知っているかの
ように振舞うな」と述べた。
一方で、趙さんを擁護する人もいる。歴史上の出来事について議論することは普通だという
意見や、「彼が言っている意味は理解できる」と主張する人もいる。
趙さんのオンライン上のフォロワーは700万人だ。相次ぐ批判を受け、「不適切な表現の投稿」
について「心から謝罪します」と投稿した。
「深く、深く、謝ります。私は侵略者を擁護したことはないし、今後も決して擁護しません。
私は侵略者を強く非難します」と書き、「どの国の国民も、自分の国の歴史を思いやり、
尊敬しながら、国の歴史についてある程度の知識を持つべきだ」と、中国政府機関のリンクと
引用文を投稿した。
この謝罪にも関わらず、ソーシャルメディアでは「中国から出て行け」「スウェーデンに戻れ」
などと、趙さんを攻撃する声があふれている。
今回の騒動は、この1年間に起きた中国とスウェーデンの緊張関係を連想させた。
2018年1月、中国指導部の個人的な生活に関する本を複数出版している
スウェーデン国籍の作家が、北京行きの電車に乗っていた際に当局者らによって連れ去られた。
スウェーデン政府は今年2月、拘束されている作家の娘と無断で会合を持ったとして、
駐中国大使を召還した。この会合の出席者は、解放活動を行なっている娘をけん制したという。
2018年9月には、スウェーデンの風刺テレビ番組が、中国人は犬を食べたり、公共の場で
排泄したりするといった冗談を放送し、中国側を激怒させた。
<中国・スウェーデンの騒動①>中国人がスウェーデンで「侮辱」受けた事件の真相、中国メディアの3つの過ち―米華字メディア
<中国・スウェーデンの騒動②>中国人は国際社会でのマナーを知ってるの? スウェーデンのテレビ局が中国を侮辱=中国大使館が抗議「道徳的に許せるライン超えた」
(英語記事 Chinese actor sorry for Japan comments)