豪州もファーウェイ排除、中国の影響力に懸念
2018 年 4 月 21 日 00:22 JST THE WALL STREET JOURNAL
【シドニー】オーストラリア政府は、ソロモン諸島を結ぶ海底インターネットケーブルの設置に自ら乗り出す計画を発表した。
太平洋地域で中国の影響力へが高まっていることへの懸念から、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を正式に締め出す。
オーストラリア政府は中国政府による技術乱用の可能性へ不安感を強め、海底ケーブル設置計画でファーウェイを契約先から
外すようソロモン諸島に求めていた。ファーウェイの広報担当者は今回、コメントを控えたが、経営面で中国政府との関係はないと
以前から主張している。
オーストラリアのマルコム・ターンブル首相は19日遅く、訪問先のロンドンでソロモン諸島の首相を含む南太平洋諸島の首脳陣と
会談。その後、ソロモン諸島とパプアニューギニアをつなぐ海底ケーブルの敷設に動く方針を明らかにした。
ケーブル設置費用の大半はオーストラリアが支払うものの、ソロモン諸島とパプアニューギニアも一部を負担する見通しだ。
2019年末までの完成を目指す。ソロモン諸島がファーウェイへの発注を発表する前は、費用が7000万米ドル(約75億円)と
見積もられ、アジア開発銀行(ADB)から融資を受ける見通しだった。だがファーウェイが選ばれたことを受け、透明性に関する
懸念からADBが手を引いた。
ソロモン諸島とパプアニューギニアは、南太平洋諸島の中で最もインターネット接続のコストが高く、通信も不安定だ。
ソロモン諸島は現在、衛星を使ったインターネット通信だけに頼っている。
オーストラリア政府は2012年、新たな全国的ブロードバンド網の構築に向けた入札でファーウェイの応札を禁じた。
だが同社はオーストラリアで引き続き、主要通信事業者に通信機器を供給したり、消費者に携帯端末を販売したりしている。
第5世代(5G)移動通信システムの普及に関するオーストラリア政府の諮問委員会にも参加している。
欧米諸国の政治家の間では、ファーウェイをはじめとする中国の通信機器メーカーが5G通信技術で優位に立つことを不安視する
声が強まっている。米国と英国は先に、別の中国通信機器メーカーの 中興通訊 (ZTE)に対する措置を打ち出した。