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中国「一帯一路」が生む借金地獄 米機関が指摘する「高リスク」8カ国とは

2018-05-12 21:23:43 | 中共日本浸透工作・中共浸透工作・一帯一路・中国経済侵略

中国「一帯一路」が生む借金地獄 米機関が指摘する「高リスク」8カ国とは

 2018.5.7 08:00    産経新聞



 援助を受けていたはずが、巨額の借金を抱えた上でインフラも奪われる-。中国が推し進める現代版シルクロード経済圏構想

「一帯一路」が生み出す巨額債務への警戒感がここに来て急速に広がっている。米シンクタンクは、債務返済が困難となる

恐れがある8つの国を指摘した。債務と金利が重くのしかかる、一帯一路の負の側面が浮かぶ。


「代償なし」ではない

 「参加各国は、(中国によるインフラへの投資などを)フリーランチと考えるべきではない」

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は12日の講演で、一帯一路についてこう指摘した。

「フリーランチ」とは「代償なし」「無料」などを意味する。IMFトップが一帯一路にともなうリスクを公に警告した格好だ。


 巨額の債務による“代償”を背負う形となった代表例が、スリランカだ。


 スリランカ南部ハンバントタ港は2010年、親中派ラジャパクサ政権下で建設が始まり、建設費約13億ドル(約1421億円)の

多くを中国からの融資でまかなった。


 だが、スリランカに重荷となったのが、中国側が設定した最高で年6・3%という金利だ。そもそも財政に余裕があるとは言えず、

当初から返済に窮するようになる。最終的に昨年12月、港の株式の80%を中国国営企業に貸与し、

リース料として11億2千万ドル(約1224億円)を受け取ることで合意した。


 リースという形を取ってはいるが、貸与期間は99年間で事実上の売却といえる。スリランカ側からすれば、いつのまにか

港が中国の手に渡った格好だ。

 

こうした手法は「債務のわな」と批判される。3月にはティラーソン米国務長官(当時)も、一帯一路の参加国が、

完成したインフラを中国側に譲渡する事態に対し、「主権の一部を放棄しないで済むよう(事業契約を)注意深く検討すべきだ」と

呼び掛けた。


対外債務がGDPの8割…返済能力に疑義

 そんな中、米シンクタンク「世界開発センター」は今年3月、一帯一路参加各国の債務についての調査結果を公表した。

返済能力や債務の中国への依存度などについて、IMFのデータなどから検証している。


 債務にリスクがある国とされたのが、ジブチ、キルギス、ラオス、モルディブ、モンゴル、モンテネグロ、タジキスタン、

パキスタンの8カ国だ。


 報告によると、東アフリカのジブチは対外債務が2年間でGDPの50%から85%に増加した。大半の債権を抱えるのは中国だ。

東南アジアのラオスでは、最大67億ドル(7327億円)に達する鉄道プロジェクトが国のGDPのほぼ半分を占め、

債務返済が難しくなる可能性を指摘した。


 中央アジアのタジキスタンでは、IMFと世界銀行が債務について「リスクが高い」と評価しているが、今後もさらなる

インフラ投資が行われるという。


 調査で「最大のリスクを負っている」と指摘されたのが、パキスタンだ。一帯一路関連プロジェクトである

中国・パキスタン経済回廊(CPEC)に基づいて、インフラ整備が進行中で、中国から約620億ドル(6兆7800億円)の

融資が見込まれている。調査は「高い金利が、パキスタンのリスクとなる」と警告した。

 

「中国は東インド会社にはならない」

 加盟国側で危機感は共有されてはいないようだ。

 パキスタン国内では表だってCPECへの異論は聞こえてこない。「中国がインフラ整備をして、働き口を作ってくれると

歓迎する雰囲気がある」(現地ジャーナリスト)。


 むしろ、首脳からは中国からの投資を歓迎する発言が出ている。


 「CPECは債務のわなではない。中国が求めるのはパートナーシップだ」


 南部カラチで23日に開催されたCPEC関連フォーラムで、アッサン・イクバール計画相はこう述べ、中国への信頼感を示した。

外部の懸念を意識した発言であることは明白だ。


 さらにイクバール氏は、17~18世紀にかけてアジアでの貿易を独占し、植民地経営にも関与した東インド会社を

引き合いに出し、「中国は東インド会社にはならない。パキスタンにとって何も恐れることはない」とも発言した。


 もちろん、インフラ整備などによって、生産性が向上し、経済発展につながれば、債務返済も順調に進む可能性はある。

外交筋は「仮定をいくつか経ないと、良い結果にたどり着けないのが一帯一路だ」とした上で、

「インフラが整うのは素晴らしいが、その背後に潜んでいるものを見極める必要がある」と話している。

 

一帯一路関連事業である「中国パキスタン経済回廊」に基づいて開発が進むパキスタン南西部グワダル港。昨年12月の時点では、厳重な警備体制が敷かれており、商業船が行き交う様子は見られなかった


 

貸付けからの"差押え"外交!世界で中国が本格的に警戒され始めた!|奥山真司の地政学「アメリカ通信」

戦略系用語:Debt-trap Diplomacy借金漬け外交 と、世界から本格的に警戒され始めた中国。

先日放送したスリランカのでの港差し押さえの件でもわかるように、世界各国で貸付けからの差し押さえ、Debt-trap Diplomacy

(借金漬け外交)を展開する中国、 その一方的なやり方に世界が本気で警戒し始めたって話。


▼地政学者・奥山真司の「アメリカ通信」/THE STANDARD JOURNAL▼ このチャンネルは、現代日本人にとって、決定的・致命的に欠けている、

国際(政治/経済)情勢における「地政学」「リアリズム」「プロパガンダ」の3つのセンスを、高尚かつ多角的に、分かりやすく、素敵に身に付けて頂くための

チャンネルです。

◎奥山真司 1972年横浜市生まれ。地政学・戦略学者。戦略学Ph.D.(StrategicStudies)。国際地政学研究所上席研究員。戦 略研究学会編集委員。

日本クラウゼヴィッツ学会理事。カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学(BA)卒業後、英国レディング大学院で、戦略学の第一人者コリン・グレイ博士

(レーガン政権の核戦略アドバイザー)に師事。現在、国際関係論、戦略学などの翻訳を中心に、セミナーなどで若者に国際政治を教えている。

日本にほとんどいないとされる地政学者の旗手として期待されており、ブログ「地政学を英国で学んだ」は、国内外を問わず多くの専門家からも注目され、

最新の国家戦略論を紹介している。

著書に『地政学アメリカの世界戦略地図』(五月書房)のほか、翻訳書として、『インド洋圏が、世界を動かす』(ロ パート・カプラン著、インターシフト)、

『中国4.0暴発する中華帝国』(エドワード・ルトワック著、文春新書)などがある。