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中国でのゴルフ人気、向かい風が続く理由 次期シーズンのトーナメント開催、承認を得られず

2017-05-01 14:45:45 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国でのゴルフ人気、向かい風が続く理由

次期シーズンのトーナメント開催、承認を得られず

2017 年 5 月 1 日 13:33 JST    THE WALL STREET JOURNAL

 

 【北京】全米プロゴルフ協会(PGA)が中国でバンカーから抜け出せずにいる。PGAは昨年、5月9日の大会を皮切りに

中国で10以上のトーナメントを開催したが、次期シーズンは大会開催の承認を得られていないという。


 PGAツアーチャイナのマネージングディレクター、グレッグ・ギリガン氏は「なかなか話を進めることができない」と話し、

「(トーナメント)承認の基準に不透明な部分がある」と続ける。


 トーナメント開催の行き詰まりはPGAと中国国内のパートナー企業の不和が背景にある。中国でのゴルフ人気拡大に

向け、再びボギーを叩いた格好だ。中国では毛沢東元国家主席がゴルフを「ブルジョア」な趣味だとして禁止し、最近で

は習近平国家主席が汚職対策や倹約令の一環として約200カ所のゴルフ場を閉鎖した。


 PGAは大きな期待を寄せて中国に進出した。スター選手の発掘に成功すれば、人気バスケットボール選手だった姚明

氏が同競技の認知度を一気に高めたように、ゴルフ人気も広がると見込んでいたのだ。


 2013年にはトーナメント開催について、準政府組織の中国ゴルフ協会(CGA)並びにプロモーション企業の中奥体育

産業(COSI)と合意を結んだ。


 しかしギリガン氏によると、その2年後からPGA側はCOSIの商慣行に疑問を抱き始め、「金融取引の内容」に問題が

あると考えるようになった。同氏は具体的に何が問題だったのかは言及しないが、問題についてCGAやCOSI側と協議

したところ、「彼らの説明に納得することができなかった」と語る。


 COSI側はPGAと合意を結んだ際の幹部らがすでに退社しており、他の人物が取材に応じることもできないとした。

ウォール・ストリート・ジャーナルは元幹部の1人に連絡をとったが、コメントは得られていない。


 CGAもこの件についてはコメントを差し控えた。一方でCGAとCOSIが独自の大会開催に向けて話し合いをしているこ

とは明らかになっている。


 ギリガン氏は、COSIの離職率やゴルフに関する知識にも懸念を持っていると説明。同氏によればCGAがCOSIとの

関係を変えることを受け入れなかったため、三者間の合意が昨年末に破棄された。


 PGAは今も中国でのトーナメント開催を諦めておらず、ギリガン氏は「より高い権限を持つ当局」や地方政府当局者か

ら承認を受けて話を進めていきたいとしている。


 そのためには強い力を持つCGAを迂回(うかい)する必要がある。CGAは正式な政府機関ではないが、同団体のトッ

プを務めるのは国家体育総局でゴルフ部門を管轄する王立偉氏だ。ギリガン氏によれば、CGAはトーナメント開催に関

して「独占的な立場」を築いている。

広州にあるゴルフ場


2004年から新たなコースは建設禁止

 約14億人の人口を抱える中国だが、ゴルフ人口は最大300万人程度にとどまるとギリガン氏は話す。ゴルフ場の数

は米国が1万4000以上なのに対し、中国は500にも満たない。新たなゴルフ場の建設も2004年から禁止されている。


 中国のゴルフ事情に関する著作「The Forbidden Game: Golf and the Chinese Dream」がある作家ダン・ウォ

シュバーン氏は、ゴルフは多くの中国人にとって今も西側のぜいたくの象徴だと指摘。「政府当局者がゴルフを楽しむ余

裕などあるべきではないのはもちろん、ゴルフクラブの会員権を所有するなどもっての外だ。ゴルフは本当に裕福な一部

の人のみが楽しめる」と語る。


 PGAのギリガン氏は、中国事業から得た収益は控えめなものだったと話す。しかし昨年のリオデジャネイロ五輪に参

加した2人の中国人ゴルファーのうち、1人は中国でトーナメントが実施されたことで出場権を獲得している。またPGAツ

アーの下部リーグに当たるWeb.comツアーへの参戦権を獲得した中国出身選手も複数いた。


 上海体育学院の共同学長を務める劉東峰教授は、中国が今も旧ソ連式の考え方でゴルフや他のスポーツをとらえて

いるとする。最大の目的は、五輪で活躍できる選手を育成することだ。


 ただスポーツから経済的恩恵を受ける可能性も考慮するようになり、一部では営利目的として考えられるようにもなっ

た競技もあると同氏は話す。政府当局者が準政府機関と協力し合う構造から、徐々に脱却が進む分野もある。


 その先頭に立つのは、2015年に政府の担当部局が廃止されたサッカーだ。政府出身者ではない人物として初めて姚

明氏がバスケットボール協会の会長に就任したこともあり、その次に続くのはバスケットボールだとする声も多い。


 劉氏は「重要度で考えれば、ゴルフは全く議論にあがっていない」とし、「残念ながら、ゴルフの将来はあまり明るくない

と言える」と語った。