こんにちは。フォックス淳子@香港です。5月1日現在、
香港のSARS統計は:
死亡者
5人増加 34~83歳 うち、慢性疾患に併発の患者4名
累計 162名
死亡率10.1%
感染者
11人増加 累計1600人
重症患者88人
治癒(退院)
43人増加 累計834人
このほか102人が回復に向かっており近日退院予定
(「増加」とあるのは前日比較)
及び、以下は今日書いたレポートです。「香港在住一般人の見解」と明記してくだされば、転載可。
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【中途報告】最近の傾向
WHOのヘイマン感染症対策部長が香港やシンガポールでは対策が効を奏し、ピークは過ぎて徐々に収束に向かっているとの見解をASEAN+3バンコクSARS首脳会議前に語っている。
今なお患者が増えていて予断を許さない状態で、たとえ素人のコメントであろうと誤解を与えかねない意見、特に生死につながる問題において安直な意見を述べるのは差し控えたいが、数週間に渡り見られる傾向の中で顕著な部分だけを取り出してみよう。
香港の場合、感染源である広州の医者から始まったプリンスオブウェールズ病院の第一波、病院の通院患者から始まった淘大花園の第二波に続く大型集団感染が出ていない事もあり、新規感染者の増加率は確実に減少している。これはSARS流行直後から各所で見られる無神経、無責任な人間の多さを考えると、極めて幸運なことであると言えよう。
しかし同時に、死亡者は引き続き増え続けている。1日12人を最高に(4月30日までの統計)、過去数週間、死亡者が出ていない日は1日たりともない。これは何を意味するか。
つまり、抗ウィルス薬による反応が得られず、治癒の見込みがなく人工呼吸器でかろうじてもっている重症患者が、限界に達した時点で死亡しているのである。この層には慢性疾患のない20~40代の若い患者が多いのも特徴である。30日現在、累積死亡者は157名、単純に全感染者数から算出した死亡率は9.88%にのぼる。今日にも10%を越え、今後も死亡率は引き続き上昇すると思われる。このまま順調に収束に向かっても、たとえ誰であろうと、これから感染して、運が悪ければ、やはり同じ道をたどる事になる。これを決して忘れないでほしい。
台湾の例を見るとわかるように、初期から迅速かつ優れた対策を実施し(可能病例が10人未満だった初期の周辺者隔離基準でさえ、遥かに感染者数の多い香港の現在と比べても尚厳しい)、専門家の医療水準の高さ、市民のモラルの高さと併せ、ほぼ封じ込めに成功したかのように見えた台湾でさえ、たった一人の「超級感染者」が出たばかりに一転して悲惨な状態となってしまった。これを考えると、完全に収束したと確信が持てるまでは油断してはいけないのだ、絶対に。
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Junko FOX
香港のSARS統計は:
死亡者
5人増加 34~83歳 うち、慢性疾患に併発の患者4名
累計 162名
死亡率10.1%
感染者
11人増加 累計1600人
重症患者88人
治癒(退院)
43人増加 累計834人
このほか102人が回復に向かっており近日退院予定
(「増加」とあるのは前日比較)
及び、以下は今日書いたレポートです。「香港在住一般人の見解」と明記してくだされば、転載可。
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【中途報告】最近の傾向
WHOのヘイマン感染症対策部長が香港やシンガポールでは対策が効を奏し、ピークは過ぎて徐々に収束に向かっているとの見解をASEAN+3バンコクSARS首脳会議前に語っている。
今なお患者が増えていて予断を許さない状態で、たとえ素人のコメントであろうと誤解を与えかねない意見、特に生死につながる問題において安直な意見を述べるのは差し控えたいが、数週間に渡り見られる傾向の中で顕著な部分だけを取り出してみよう。
香港の場合、感染源である広州の医者から始まったプリンスオブウェールズ病院の第一波、病院の通院患者から始まった淘大花園の第二波に続く大型集団感染が出ていない事もあり、新規感染者の増加率は確実に減少している。これはSARS流行直後から各所で見られる無神経、無責任な人間の多さを考えると、極めて幸運なことであると言えよう。
しかし同時に、死亡者は引き続き増え続けている。1日12人を最高に(4月30日までの統計)、過去数週間、死亡者が出ていない日は1日たりともない。これは何を意味するか。
つまり、抗ウィルス薬による反応が得られず、治癒の見込みがなく人工呼吸器でかろうじてもっている重症患者が、限界に達した時点で死亡しているのである。この層には慢性疾患のない20~40代の若い患者が多いのも特徴である。30日現在、累積死亡者は157名、単純に全感染者数から算出した死亡率は9.88%にのぼる。今日にも10%を越え、今後も死亡率は引き続き上昇すると思われる。このまま順調に収束に向かっても、たとえ誰であろうと、これから感染して、運が悪ければ、やはり同じ道をたどる事になる。これを決して忘れないでほしい。
台湾の例を見るとわかるように、初期から迅速かつ優れた対策を実施し(可能病例が10人未満だった初期の周辺者隔離基準でさえ、遥かに感染者数の多い香港の現在と比べても尚厳しい)、専門家の医療水準の高さ、市民のモラルの高さと併せ、ほぼ封じ込めに成功したかのように見えた台湾でさえ、たった一人の「超級感染者」が出たばかりに一転して悲惨な状態となってしまった。これを考えると、完全に収束したと確信が持てるまでは油断してはいけないのだ、絶対に。
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Junko FOX