香港の駐在員 南Ｙ島の一日

こんにちは。フォックス淳子＠香港です。

「＠香港」とは言っても、私が住んでいるのは、南Ｙ島（Lamma Island）というド田舎の離島、しかもその中でもひときわ閑散とした野中の一軒家で、ヤモリの大家族を始めとする多様な生物との共存を余儀なくされておりますし、窓の外にはなぜか、バナナの樹その他のトロピカル植物群、はっきり言いますと「ジャングル」が広がっております。

香港と言うと、ところ狭しと立ち並ぶ高層ビル群を思い浮かべられるかも知れませんが、ここでは３階建てまでに制限されているので、高い建物と言うと発電所の煙突ぐらいですし、車の乗り入れも原則禁止されております。スーパーもセブンイレブンもマクドナルドもありません。（もっともこれは、村のオッチャンらの圧力、という説あり）

そんなシガない田舎島ですが、香港は何しろ狭いので、田舎とは言ってもフェリーで３０分程度、休みになると、街からはササヤかな週末リゾートを楽しむ善良な皆様がドッと押し寄せ、皆一様にハイキングや海鮮料理などを楽しんだ後、また街の「楽しい我が家」に帰って行きます。

ところでこの島、ここ１５年ほどの間に香港在住西洋人が定着してきたせいか、パブなどの酒どころは意外にも充実しています。今ぐらいの季節は特にそうですが、犬連れでチョイと出かけ、その辺のパブで、外に出したテーブルで一杯ひっかけたりするのも大変気持ちのよいものです。

先日も、友人が遊びに来たついでに、近所のパブでまだ陽も高いうちからビールをぐいぐい飲んでおったのですが、ふいに日本語が聞こえたのでフト見ると、日本人駐在員一家らしき３人連れ（お父さん、お母さん、子供）が。おそらく他の人たちと同じように、週末の家族サービスで南Ｙ島に遊びに来たものと思われます。

この一家も私たちが飲んでいたパブに入っていったんですが、何やらこの「お父さん」が、やけに不機嫌そうで、家族と話すのを拒むかのように、一人離れて座り、店内のテレビでやっていたスポーツ番組をずーーーっと見ていたんですね。奥さんと子供は、困ったような顔をしながらも、黙って座っていました。

ヨソ様のご家庭に口出すのも失礼なんですが、何だか、他人事ながら気になってしまいました。

香港の日系企業で働くというのは、それはそれは激務で、台風のシグナルが高くなって規則で休んでいい事になっている時でも、日系の社員だけは出社すると言いますし、お客が来たら就業時間外でも空港に迎えに行くのは当り前。また、本社のコスト削減方針のせいか、駐在地は香港でも、事実上はアジア各国を行ったり来たりしなくてはならない人も多いようです。

そんな事を考えながら、ちょっとやるせないような気持ちで、くだんの家族連れをチラチラ眺めてしまいました。家に帰りつく頃には、お父さんのご機嫌が直ってたらいいな、なんてね。

何だかとりとめのない話でしたね。失礼しました。

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Junko FOX