日付けは変ってしまったけれど、昔の日記が出て来たので書き写してみたくなり、UPしてみます。
初めての沖縄初日のものです。
登場人物の敬称は省いています。少々長めです。
『Sunny Afternoon』午後の日溜り…と云う言葉が、これ程適切に感じられた事がこれ迄に有っただろうか…と思わせる、ここ那覇市泊大通りに面したカフェテラスからの一望。かくも自然とあの『Sunny Side Of The Street』のメロディーが頭の中に浮かんでくる。
本当に"Sunny"という言葉がピッタリとしてはいるが、実際に外に出れば一足早い梅雨の蒸し暑さのせいで、些か不快にもなりかねない。今ここでアイス・コーヒーを飲みノドを潤していられる間が、何とも口には出せない心地だ。
それにしても、今朝の海上とはウソみたいに違いすぎる、遥か遠き我が家と比べれば南の果の筈なのに、少々寒気を覚えた程だった。海上と言えば、ああ、何と口にしたら良いものか。あの48時間15分の波間に揺れる牢獄を…。ただ石の様に沈黙に更ける人達の中で、時折り子供達の泣き、はしゃぐ声。可愛らしいとさえ思っていたそれが、狂気に触れて喚き散らすが如く「やめろ!」と叫びたくなってくる。それもその筈、船はただ揺れ、その誰もが止められない揺れの中に〈あの人〉の事を思い、飛び込み流れて帰ろうと思ったりする。そして遂には「もどす」事が無いまでも、船酔いにこの身を犯され、熱が出た…と額に手を当てがう始末。今ここに、午後の日溜りに目をくれながらも、まだあの上下左右に揺れた感覚が残り、この身を揺らしている。
予約済みの ユースには午後三時迄は入れず、煙草の一服一服を味わいながらこれを書いているのだが、初めからの不安は益々募り、今日が日曜日だという事が尚更悔やまれてならない。ユースを出る10日からの夜は何とか部屋を確保出来たとしても仕事の事が気に掛かる。ここでいくら那覇が大きな街と言ってみても、住み慣れたあの町とは比べる程もない所。未だ那覇を知らないし、ついさっき着いたばかりなのだが、そんな気がする。船から足を降ろして二時間足らず。未だ私には何も無いのだから、不安が出てもそれは仕方の無い事。(14:40)
ユース(春海荘)での日々が始まる。仙台からの猪俣と鵠沼(神奈川)の毛利の二人と同室になった。この事に拠り私としては様々な情報を得られた。初めてのユース、下船後の夜、例によって寝付きが悪い。大地の上、屋根の下でゆっくり、安心して体を横たえる事の出来る歓びは有るけれど、未だ体は波に揺れている。 (夜)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます