映画 プリシラ (ソフィア・コッポラ監督 米イタリア合作)
エルビスの家庭内ドタバタなんか見ても仕方がないので行く気がなかったが、フランシス・コッポラ監督のお嬢さんが監督しているというのでなんかいいことあるだろうと思って見に行った。確かに週刊誌ネタになりそうな夫婦のなれそめから離婚までを描いているが、そんな話を描きたかったのではないと考える。
主人公は、アメリカ人だが西ドイツ駐留軍の軍人の娘で、エルビスにあこがれて追っかけをやっているうちに結ばれる。(戦後西ドイツも日本同様アメリカに強いあこがれを持ったものと見える。)従順な新妻になるがエルビスは忙しく睡眠薬などに頼らないとやっていけない働き中毒のところがあり、さらにインドの超越思想に憧れたりする。(むかし米国でヒッピーが流行ったことを彷彿される。ヒッピーは働き中毒の反作用として出現したとみられる。)紆余曲折あって分かれて強く生きていく決心をする。(西ドイツは米国から精神的独立を果たしたのか?)
というわけで、西ドイツがはじめアメリカの文化的支配を喜んで受け入れるというより積極的に従属するが、やがて独立してやっていこうという話と見ることができる。ポイントは、結婚した当初からエルビスに働き中毒による心の問題が発生していたところであろう。知らないことであったが、プリシラ(我々西ドイツと日本人のことになるが)はそんな文化にあこがれていたのである。
ここで西ドイツを日本に置き換えても全く同じ物語になる。日本人もこの映画を週刊誌と同じ調子で見てはならない。教訓の詰まった映画である。アメリカ文化と一体化すると碌なことにならない。これが10年前20年前でなく今映画化されたのは、多分監督の嗅覚が今だと教えているのであろう。離れるなら今である。遅れてはならないと言いたいのであろう。
主演の女優さんは、主人公の十数年の期間を演じて各年代のこころの状態を演じ分けて見事である。