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ヨーロッパの王と大思想家たちの真実(副島隆彦 秀和システム)

2024-04-20 19:03:18 | 日記

ヨーロッパの王と大思想家たちの真実(副島隆彦 秀和システム)

当方のこころが沈んでくるとこういった「トンデモ本」を読みたくなる。ホンマかいなというようなことを大真面目に書いて、ここに書いてあることが本当だと絶対譲らない著者のその姿勢を見習いたくなってくる。わたくしの方は、普段の生活で何でもかでも周囲に合わせて波風立てないようにするのをモットーにしているのでこの著者のように生きたいと時々本当に思う。これは本の中身より著者の心意気を読む本である。

他にもきっとあると思うが、私の読んだ「トンデモ本」はこれで三冊目である。アメリカの月面着陸はなかった論は面白かった。たしかになかったかもしれない。あったらそのあと陸続と着陸するはずなのに打ち止めになっているところが怪しい。しかしどちらでもよさそうな気がする。どちらであっても今晩のわたしのおかずが上等になるとは思えないからである。

徳川家康が途中で替え玉の人物とすり替えられた論は、劇画のネタとしては面白いけどちょっと無理なんじゃないかと思った。加藤廣さんに頼んで小説仕立てにすると絶対受ける小説になるんだが、評論としては合理性に欠ける気がする。途中ですり替えたら家来とかに気づかれないで済むはずがない。(こう書くと絶対著者に怒られるけど)

ヨーロッパの王と大思想家たちの真実は、中身を書いてはいけないから書けないけど○○は実際は××の子供であるといったような話で、西洋史に暗い私は人名辞典を引きながら読んでもなかなか理解できなかった。しかし部分的には、ヒザを打ってそう言うことかと思うことがある。一か所でもヒザを打つところがあるのがいい本である。

ルターの宗教改革とは、恋愛と金儲けを自由にやらせろ(金利をとれ)という要求であったという。それでキリスト教の方も方針を変えたらしい。なるほど西洋ではこのころから急にお金儲けのために海外渡航をはじめている。東洋では恋愛はさておき金利を取ることは何の差し障りもなかった。ならば資本主義は本来東洋で発生するはずである。西洋では、金儲け解禁になったここ五から六百年の間嬉しくて嬉しくて仕方ないから必死になって資本主義の勉強をした。(その西洋型システムが今世界を席巻している。しかしいずれ東洋型システムも息を吹き返してくるのでないかと考えることがある。)

恋愛はわが国では万葉の昔から自由であった。(江戸の家制度が重い時を除いては。)自由であるものに関しては文学の対象にならない。そこらへんに一杯あるものをわざわざ読みたいとはだれも思わない。西洋では恋愛文学に大作があるのは、恋愛できるようになったのが嬉しくて嬉しくて仕方ないからだと解釈できる。この本でも取り上げられている西洋の自由思想も、実際のところは嬉しくて嬉しくて仕方ないからあのくらいワーワー騒ぐのではなかろうか。西洋の思想に関する本を読んでもしっくりこない理由が分かったような気がする。はしゃぎすぎだからだと思う。