日本銀行 我が国に迫る危機(河村小百合著 講談社現代新書)④読後感想
苦労して読み終えたけど得るものが少なかった。この本はこれから日銀はどうするのかそれに対して我々がどう対応すればいいのかが書かれているのではない。どのような政策を打ってきたのかを事細かく(もちろん批判的な言葉づかいではあるが)記載した論文の様なものである。新書なのだからちょっと苦労すれば読めると思っていたのが大間違いだった。
どうやら想定されている読者層に私は入っていなかったようである。金融のプロを読者層にするのならこの本いくらも売れないだろう。現に本屋にいつまでも平積みにされたままで売れている風に見えない。私が編集者なら読者層はこういう人、こんなことを知りたがってるはずと目星をつけて原稿を発注するけど自由にお書きくださいとしたに違いない。筆者は腕によりをかけてありとあらゆる材料を揃えて料理を作ったと考えられるが、お客の方はとても消化しきれないものになっている。ちょうど満漢全席をたった一人で一時間で食べろと言われたようなものでありがたいような迷惑なようなということになっている。
私なら、日銀の政策は第二次大戦後のイギリスの金融政策である金融抑圧を日本がこの十数年に渡ってとってきたと説明する。金融抑圧とは戦争中に発行した公債の償還をインフレを起こすことでやってしまおうという策で、だれが考えたか知らないがなかなか思い切った策である。イギリスポンドは対米ドルで1/5にまで下落したし名のあるイギリス企業が買収されたりした。
果たして私の見方が当たっているかどうか知らないが、そうなら今後どんなことがおこるか予想はその類似で容易につくだろう。その予想を書いてほしかった。この本を読もうとしたことは私には失敗であった。
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