本の感想

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木米と永翁(宮崎市定 朝日新聞社)②

2024-11-28 11:32:31 | 日記

木米と永翁(宮崎市定 朝日新聞社)②

 面白いのは、初めに買った人は「金を儲ける法」のセクションをよほど熱心に読んだ痕跡があることで、マーカーがいくつもある。ちょうど高校の歴史教科書のようになっている。別の話だが、永井荷風の断腸亭日乗も古本で買ったが、初めに買った人は預金封鎖の日の記事を熱心に読んだ痕跡があった。お金の記事はかくも熱心に読まれるものらしい。

 それなら本屋に並んでいるお金に関する本がどんどん売れているかというとそうでもないように見受けられる。門外漢が書いているところが魅力なのであろう。プロ野球選手や大相撲の力士が「金を儲ける法」というコラムを書くときっとその新聞は売れるであろう。あの人でもできる、ならば自分もできるに相違ないというところが魅力なのではないか。

 さて、このコラムの欄には歴史を知ることは人間を知ることである。人間を知ることはお金儲けに大事であるというのが趣旨で、例えば資治通鑑を読み込むことが人間を知る一助になるかもしれないとある。私は遺憾ながら資治通鑑は見たこともないが、多くの通俗歴史小説なら読んだ。その範囲でなら人間を知ってるつもりであるが、さっぱり験が現れなかった。資治通鑑と通俗歴史小説の格の違いかもしれない。子孫が栄えるためには、若いころからそういう教育をすべきであろう。通俗歴史小説を本箱から排除して資治通鑑またはそれと同等の本を本箱に入れるのである。

 そこで思いつくことがある。わたしは面白がって手相の勉強を少ししているが、どの流派でもお金儲けの才能とコミニケーション能力とは同じ線であらわされている。コミニケーション能力とはお笑いタレントのようにしゃべりが上手いという意味ではなく、人間とはなんであるかの洞察に優れたという意味とみると話のつじつまが合う。

 しかし今から資治通鑑またはそれと同等の本を読んでも日暮れて道遠しである。若い時に木米と永翁のこのコラムに出会うべきであった。



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