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映画 ゴジラ1.0

2024-03-23 22:23:24 | 日記

映画 ゴジラ1.0

 海外で賞を得たというのでさぞや凄いんだろうと見に行ってひどい目に会った。特撮の技術と音楽はよかったが、余程費用と時間を倹約したのだろう、俳優の演技がなっていないB級の映画であった。時間をかけて役作りしないとあれでは、まるでNHKの朝ドラである。朝ドラは、昔はご主人と子供を送り出した主婦が茶碗を洗いながら背中で聞くドラマである。その伝統あって今でもあれを座って鑑賞する人はいないように作ってある。

 映画というのは、高い金を払ってわざわざ暗いところに虜になりに来るものである。日常を忘れてそれでも日常の家庭生活や仕事の人間関係の悩みの棚卸をして、次の日からの自分の感情を自分でどう誘導するかを考える大事な時間である。観客が何らかの気づきを得られないような映画はゴミである。日常を忘れるためには、ぜひともこれは凄いという演技でないといけない。俳優は、無名でいいからしっかり演技のできるヒトを選び時間をかけて撮影することである。(ゴジラだけは演技が上手い)

 脚本家ももっと言葉を磨かないと駄目である。あの場面であの間抜けな言葉を使うのか。脚本家は、万葉集から井原西鶴まで通じてその場その場で必要な語彙を次々繰り出していく必要があるのに、全編甘いメロドラマ風である。なんだかやっつけ仕事みたいになっているのは時間が無かったせいとみられる。

 「特攻」という重いテーマを題材にしている。しかし、最後はハーピーエンドに作ってある。このテーマをこんなお子様向けの映画に使ってはいけない。このテーマを用いるなら相当の覚悟で制作者も何年も苦吟して本気で作らないといけない。その時は見るほうも娯楽ではなく本気で見ないといけない。またハッピーエンドは、いけない。ありとキリギリスの最後を「ありはキリギリスを助けました。」では何の教訓にもならないのと同じである。イソップは残虐と言われても、残虐の中に教訓があるのである。お子様向けでも教訓を含ませないと駄目である。悲劇と喜劇だと、悲劇の方がはるかに格が高いのは、教訓が入っているからであろう。

 「特攻」を扱った映画が、外国で賞を得た。この意味は大きい。日本を取り巻く環境に大変化が起こっていることをひしひし感じながら、この作り方が安っぽい映画を見て時間損した。

 



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