三菱重工業製の蒸気発生器の配管破損で2012年1月から停止中の米カリフォルニア州南部のサンオノフレ原発。
運営する南カリフォルニア・エジソン社は6月7日、全2基を廃炉にすると発表した。
住民の反対を受け、再稼働をめぐる米原子力規制委員会(NRC)の判断が長引き、コスト面から「維持は不経済」と判断した。
エジソン社は三菱重工に損害賠償を請求する。
エジソン社は2012年10月、2基のうち1基を7割の出力で稼働する計画をNRCに出していたが、市民団体や一部議員が反対、NRCも公聴会を重ねるなどして判断に時間をかけてきた。
エジソン社は
「再稼働できるかどうか、できたとしてもいつになるか不安定な状態がこれ以上続くのは、利用者や投資家にとってよくないとの結論に至った」
とコメントを出した。
廃炉は長年かけて完了させる。
エジソン社は廃炉に伴い、約1,100人の人員削減を発表。
NRCは2012年、三菱重工の
「不十分なコンピューター分析が設計ミスを招いた」
との調査結果を明らかに。
一方、両社が設計に問題があることを把握しながら安全上の改良をしなかった、とする内部文書を米上院議員が明らかにしており、責任の所在をめぐって紛糾する可能性もある。
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Ⅱ✪
米国で原発の廃炉相次ぐ 老朽化やシェール革命で採算悪化
2013.2.18
【ワシントン=柿内公輔】
米国で廃炉に追い込まれる原子力発電所が相次いでいる。
老朽化や東京電力福島第1原発事故を受けた規制強化に加え、シェールガスの開発ブームで原発のコスト競争力が低下しているためだ。
オバマ政権は原発推進の旗を降ろさず新規建設の動きもみられるが、「シェール革命」が原発大国を揺さぶっている。
電力大手デューク・エナジーは2月5日、フロリダ州のクリスタルリバー原発を廃炉にすると発表した。
同原発は格納容器のひび割れで2009年から稼働を停止中だが、補修費用が巨額で工事も長期間を要するために採算がとれないと判断した。
ロジャーズ最高経営責任者(CEO)は、
「投資家や地元にとって最善の決定」
と強調するが、再稼働を目指していただけに、
「判断は難しかった」
と無念の思いもにじませた。
電力大手ドミニオンも2012年10月、ウィスコンシン州のキウォーニー原発の閉鎖を決めた。
原子力発電最大手のエクセロンも、ニュージャージー州のオイスタークリーク原発を10年前倒しで2019年に廃炉にする。
米国は世界最多の原発≪104基≫を抱えるが、大半は1980年代以前に建設され、改修費用は年々かさむ。
福島第1原発事故を受けた規制強化も事業者の頭痛の種で、米原子力規制委員会(NRC)は昨年、米国内の原発に対して安全対策の強化を命じた。
さらに、米国ではシェールガス開発で安価な天然ガスを使った火力発電が急増し、原発のコスト競争力が相対的に下がっている。
デューク・エナジーはクリスタルリバー原発の代替施設に、天然ガスを燃料とする火力発電所を検討中だ。
長年稼働し地元のエネルギー需要や雇用を支えた原発の閉鎖は、地域経済に大きな影響を与えている。
だが、米国で進行する「シェール革命」のうねりは「業界関係者の想像以上」(日系電力会社幹部)の大きさで、エネルギー政策の根幹を揺るがしている。
オバマ政権は当初、地球温暖化対策として「化石燃料の依存脱却」を旗印に原発推進を強調した。
2012年はジョージア州で34年ぶりに原発建設を認可したが、最近は「海外産原油の依存脱却」に“軌道修正”。
2013年の一般教書演説では「天然ガスブームが米国をエネルギー自給に導いている」と力説したが、原発には言及すらしなかった。
現在米国内に20基以上の原発計画があるが、計画変更など先細りも懸念される状況で、米国の原発産業は岐路に立たされている。
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これで、三菱重工業の株価は暴落して倒産するのではなかろうか?
賠償額は恐らく、日本では有り得ない桁違いの額を請求されるであろう。