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池波正太郎のそうざい料理帖 (深夜倶楽部)池波 正太郎,矢吹 申彦平凡社このアイテムの詳細を見る |
2003年7月25日 初版第1刷発行
春夏秋冬の四つの季節で章を構成。池波正太郎が食べてきた日々の惣菜が並ぶ。戦前の子供の頃の思い出や株屋にいた頃の話とかがでてくるのだが、あらためて池波正太郎氏は東京の人だなと思う。
この本に収録されたエッセイは次の本より収録している。「食卓の情景」(新潮文庫)、「味と映画の歳時記」(新潮文庫)、「池波正太郎の銀座日記」(新潮文庫)、「食卓のつぶやき」(朝日文庫)、「小説の散歩道」(朝日文芸文庫)。
時代は昭和四十年代から五十年代。池波氏は昭和四十年頃よりその日に食べたものを日記につけているそうで、話の大元はこの日記によるようだ。
小鍋、かき揚げ、ぶっかけ飯、鰈の骨湯、蕎麦のうす作り、鰈の煮こごりなど掲載された料理をメモしようかと思ったのだが、池波正太郎氏がどんな食材を食べていたのかをメモすることにした。書き出してみると季節の食材が並ぶ。
まず調味料として昆布、鰹節、味噌、柚子、ウスターソース、辛子、酢、七味唐辛子、味噌、胡椒、カレー粉、マギーの固型スープなどがたびたび登場するが、それらは年中登場するのでまずここにまとめて記しておく。柚子、ウスターソース、マギーの固型スープというのが池波氏らしい。
春 白魚、卵、蛤、鴨、ソーセージ、蕪、カマス、大根、貝柱、三つ葉、青柳、竹の子、フキ、沢庵、鯛、煎茶、浅蜊、葱、独活、海苔、鶏肉、人参、生中華そば、キャベツ、ひじき、油揚げ、トリ貝 夏 枝豆、鰹、ショウガ、胡瓜、瓜、冷麦、ハム、パイナップル、ジャガイモ、キャベツ、白瓜、バター、茄子、豚肉、人参、ニンニク、玉葱 秋 鯖、玉葱、夏蜜柑、レモン、豚肉、うどん、松茸、貝柱、鯛、卵、ハム、豆腐、マカロニ、ワサビの茎、ウィンナソーセージ、豆、海苔、雲丹、納豆、根深葱、蕎麦、牛肉、鰻、ショウガ、ローストビーフ、軍鶏、山の芋、里芋、大根、椎茸、葱 冬 浅蜊、白菜、鶏肉、豆腐、鯛、三つ葉、蛤、鮪、河豚、蟹、鰤、ヒラメ、大根、人参、小松菜、鰈、玉葱、合鴨、ハンペン、塩鮭、蕪、中華そば、鱈、油揚げ、牡蠣、鮟鱇 |
冬の章の最後は「どんどん焼き」がでて来る。冬の章に出てきたので「どんと焼き」かと思ったら、お好み焼きや一銭洋食の類だった。これは東京の下町だけの食べ物なのだろうか?
下に池波正太郎の文章を載せる。
いまのお好み焼きのごとく、何でも彼でもメリケン粉の中へまぜこんで焼き上げる、というような雑駁なものではない。 ベースは、いうまでもなくメリケン粉を溶いて鶏卵と合わせたもの。 メリケン粉の中へ材料をまぜこむのは「牛てん」のみで、これは牛挽肉と日本葱を入れ、ざっくりとまぜ合わせて鉄板へながし、焼きあげてウスターソースで食べる。イカやエビを焼くときは、かならず、メリケン粉をうまく小判型に鉄板へ敷き、その上へ材料をのせ、さらに上からメリケン粉をかけまわして両面を焼くのである。 |
牛てん、餅てん、やきそば、キャベツボール、カツレツ、オムレツ、パンカツ、お汁粉。これらはみんな「どんどん焼き」のメニューである。やきそばは今の焼きそばと同じようなものなのだが、それ以外は名前を聞いただけでは勘違いしそうな代物。ベースはメリケン粉と鶏卵を水で溶いたもの。メリケン粉の上にパン粉がかかるとカツレツ、溶き卵を焼いたものをメリケン粉で包むとオムレツ、食パンの両面を鉄板で焼いたものにメリケン粉をかけて焼くとパンカツ。お汁粉は豆餅を焼き餡子をのせ、くるくると巻き上げたものを鋏で小さく切り、メリケン粉で容器を焼き上げ先の餅を入れて黒蜜をかけるというもの。東京の下町の屋台で食せたらしい。たいがいはウスターソースで食べる。
ウィキペディア(Wikipedia)でも「どんどん焼き」の内容が紹介されていますが、この「池波正太郎のそうざい料理帖」で書かれているものの方がはるかに詳細で、どんなものだったのか、どんな様子で売られていたのかが分かります。興味のある方は是非ご一読を。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%A9%E3%82%93%E7%84%BC%E3%81%8D