日本美術の裏の裏
2020年9月30日〜11月29日
サントリー美術館
《新蔵人物語絵巻》一巻
室町時代・16世紀
縦11.0cm、長661.2cm
サントリー美術館
男装して宮仕えし「新蔵人」と呼ばれた少女の物語。
縦が僅か11cm。墨の線描による白描の小絵。このような小型絵巻は、素人(特に女性)がプライベートの楽しみとして描いたものと考えられているとのこと。
中昔の頃、諸大夫ほどの位の人に、息子1人娘3人がいた。親は娘のうちひとりを息子に取り替えたいと常々言っていた。また、人の心は親の言いつけにも従えないものだから、心のままに過ごせばよいと言っていた。
息子は六位の蔵人に、姉娘は尼に、中君は出仕して播磨の内侍となり、帝の寵愛を受け、姫君を産んだ。
「男になって走り歩きたい」と言っていた末娘は、出家も宮仕えも拒み、男装して出仕する。新蔵人と呼ばれ、いつしか帝の寵愛を受けるようになる。ある時、その正体が帝に知られてしまうが、かえって珍しく思われて一層寵愛を受けるようになる。
(サントリー美術館が所蔵する巻の内容は、ここまで。本来二巻構成からなる絵巻の上巻に相当するものであり、この続きがあるとのこと。)
【前期出品】
男装して参内した新蔵人(左)。
蔵人を務めていた兄(右)と瓜二つ。
【後期出品】
帝に可愛がられる新蔵人でしたが、ついに正体がばれてしまいます!
しかし、帝(右)は、かえって新蔵人(左)に興味が湧き、2人の秘密の恋が始まります。
(参照)サントリー美術館「お伽草子」展図録