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【画像】2024年2月の「インド細密画」は「王族の肖像画」(東京国立博物館東洋館常設展示)

2024年02月09日 | 東博総合文化展
 2023年の府中市美術館の展覧会により、「インド細密画」に少し関心を持った私。
 
 東博の東洋館の地下1階、一番奥の13展示室に常設展示される「インド細密画」の鑑賞を2024年1月から始める。
 概ね1ヶ月単位で展示替えが行われるようであり、今回は、2度目の鑑賞。
 
 前回鑑賞(2024年1月2日〜28日)
・テーマ:「ナーヤカ」と「ナーイカ」
・展示数:9点
・説明 :インドで「ヒーロー」を意味する「ナーヤカ」と「ヒロイン」を意味する「ナーイカ」の間に表現された恋愛をテーマとする、エロティックな細密画。
 
 
 今回鑑賞(2024年1月30日〜3月3日)
・テーマ:ヒンドゥー教系の画派による王族の肖像画
・展示数:9点
・説明 :王族の肖像を描いた細密画。男性の単独像が多い。
 
 
 ビーカーネール派が8点、ブーンディー派が1点。いずれも、「ラージプト絵画」の「ラージャスターン派」にあたると思われる。
 
 
 
 以下、画像を掲載する。
 
 
《ラーム・シングと覚しき王と彼のハーレム》
ビーカーネール派、18世紀末~19世紀初
 
 ラーム・シング(?~1688)は、かつてラージャースターン地方にあったアンベール王国の君主。
 
 
 
《藩王ビーム・シング坐像》★
ブーンディー派、19世紀初
 
 テラスでは絨毯が敷かれ、その上で恰幅のよい王がクッションにもたれながら、水タバコを吸っている。天蓋が王の上方にかけられ、二人の侍者が払子と団扇をもって立っている。このような構図で王の姿を描くのは他にも類似があり、一つの定型となっていたことがわかるとのこと。
 
 
 
《テラスに坐り水タバコを吸う領主像》
ビーカーネール派、18世紀中頃
 水タバコを吸う領主は、盾を両膝の前に、剣を絨毯の上にそれぞれ置いている。遠景にはうっすらと山が見える。ビーカーネール派はこの絵のように背景をおぼろげに描いたとのこと。
 
 
 
《テラスに坐るナーディル・シャー》★
ビーカーネール派、18世紀
 
 威厳を持った姿で描かれるナーディル・シャー(1688~1747)。イランのアフシャール朝で初代の君主となった人物。
 1736年、イランの帝位につくと、1737年にアフガニスタンへと侵攻し、1738年にカーブルを占領し、アフガニスタンを支配下に置く。それに続いて、1739年に現パキスタンのペシャーワル、ラホールを攻め、カルナールの戦いでムガル帝国の大軍を打ち破り、首都デリーまでも占領した、とのこと。
 
 
 
《テラスに坐るヒンドゥー王》
ビーカーネール派、18世紀末
 王の額にはティラカとよばれるしるしが塗られており、自らがヒンドゥー教徒であることを示しているとのこと。
 
 
 
《ラチャマン・チャンド坐像》
ビーカーネール派、18世紀末~19世紀初
 剣を手にひざまずく姿で、ターバン、ジャマ(上着)、パトカー(帯)のいずれも白で統一されている。画面上部の銘に、ラチャマン・チャンドの名とタークル(領主)の語が記されているとのこと。
 
 
 
《テラスに坐る有鬚の王》
ビーカーネール派、18世紀末~19世紀初
 長いあごひげを生やした王が、長剣を横に置き、盾を携えて坐る。王の威厳を示すために頭光を描いているとのこと。
 
 
 
《坐って酒を飲みくつろぐ王子》
ビーカーネール派、18世紀
 額縁のように絵の周囲に赤い色の枠を表すのがビーカーネール派の特徴。王子はその風貌からペルシャ人だと考えられているとのこと。
 
 
 
《ムガル貴族立像》
ビーカーネール派、18世紀
 ムガル帝国の貴族。顔立ちはモンゴル系だが、その服装はインド式。背景の一部を緑色に塗ったままであることから、未完成であろうと思われるとのこと。
 
 
 
 展示替えの都度皆勤を目指すのではなく自然体で、展示が一巡するまでを目途に鑑賞を続けるつもり。


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