東京でカラヴァッジョ 日記

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「ザ・フィンランドデザイン展」(Bunkamuraザ・ミュージアム)

2022年01月09日 | 展覧会(その他)
ザ・フィンランドデザイン展
自然が宿るライフスタイル
2021年12月7日〜2022年1月30日
Bunkamuraザ・ミュージアム
 
 2021年最後の展覧会巡り。
 1930年代から70年代にかけて、フィンランドデザイン界を牽引したデザイナー、建築家、アーティストたちを紹介する展覧会。
 
 フィンランド関係の展覧会が近年多く開催されている印象があるが、私が見たのは2019年の東京ステーションギャラリー「ルート・ブリュック展」と国立西洋美術館「モダン・ウーマン展」の2展くらい。いずれも良かったが、特に「ルート・ブリュック展」はツボにはまって、写真をたくさん撮った記憶がある。
 
 本展は、フィンランドデザインの流れを辿る総集編という感じで、多くの作家の作品が少しずつ展示される。
 ルート・ブリュックの作品も数点出ていると知り、それを目当てに訪問する。
 
 
【本展の構成】
序章:フィンランドへようこそ!
 ・フィンランドの観光ポスター、写真。
1章:オーガニックなイメージ
 ・フィンランドの森を原点とする有機的なフォルム。アルヴァ・アアルトほか
2章:機能的なフォルム
 ・大量生産と実用性をキーワードとする機能主義から生まれたシンプルかつ合理的なデザイン。アイノ・アアルト、カイ・フランクほか
3章:モダニズムのアイコン
 ・機能主義から離れた独自のデザイン。フィンランドデザイン黄金時代のガラス/セラミックアーティストたち
4章:絵画のように
 ・絵画的なパターンと装飾のモダンなテキスタイル。
5章:暮らしの中のモダンデザイン
 ・PMKコットン広告、マリメッコ・ファッション・フォトグラフィほか
6章:フィンランドの妖精たち
 ・子ども向けプロダクト。トーベ・ヤンソン(ムーミンほか)ほか
 
 
 ルート・ブリュックのセラミックアートは、3章に4点登場する。
 1950年代制作の鳥をモティーフとする可愛らしい作品1点と1960年代以降制作の抽象的で芸術作品的な作品3点。私の好みは、1950年代の作品。
 
ルート・ブリュック(1916〜99)
 1942年アラビア製陶所の芸術部門に招かれ、以後50年に渡って在籍したセラミックアーティスト。初期には鳥や蝶など身近なモティーフをもとに絵画的な陶板作品を制作するが、後に、小さな陶片を組み合わせた抽象的で彫刻的な作風に移行した。釉薬を駆使したユニークで色彩感覚あふれる作品は人々を魅了し、大使館や銀行などの壁面にも取り入れられた。
 
 
 本展で最も熱心に観たのが、ルート・ブリュックをはじめとする3章。
 1950年代前後のフィンランドデザイン黄金時代のガラスアートおよびセラミックアート。
 
 グンネル・ニューマンのガラスアート、《バラの花びら》、《花瓶「オランダカイユ」》、《卵の殻》の3点は、特に好み。色付きガラスの上に、透明なガラスの層を施しているらしい。
 
グンネル・ニューマン(1909〜48)
 リーヒマエンラシ、カルフラ、イッタラ、ヌータヤルヴィの各社でガラスを手掛ける。1936年、カルフラ社主催のコンペディションで上位となり、そのうち《プレート(魚)》(本展出品作)は翌年のパリ万国博覧会にも出品され賞賛を浴びた。51年のミラノトリエンナーレでは、《バラの花びら》(本展出品作)で金賞を受賞。若くして乳がんで亡くなるが、その直前まで、シンプルで幾何学的な花瓶のシリーズをデザインした。
 
 
 本展に展示される主要な作家については、肖像写真パネルが用意されている。
 ルート・ブリュックやグンネル・ニューマンも女性であるが、女性のほうが多い(たぶん)ことに感心する。
 
 
 Bunkamuraでは、今秋にも、フィンランドデザインの展覧会、イッタラ社のガラス等製品を紹介する「イッタラ展」を開催予定である。


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