月岡芳年 月百姿
2017年9月1日〜9月24日
太田記念美術館
月岡芳年(1839-1892)の晩年作「月百姿」全100点が展示される展覧会。
1885年(明治18年)から制作開始、1890年(明治23年)までに89点が完成したが、芳年は1891年に入院してしまう。版下絵をもとに1892年4月に100点完成。6月、芳年は死去する。
全100点から印象に残る女性像を5選。
《垣間見の月 かほよ》
風呂上がりの女。それを覗き見る男。
塩谷高貞の妻に横恋慕した男、女官に対して間を取り持つよう執拗に迫る。
困り果てた女官、スッピン姿を見れば冷めるだろうと手引きする。その思惑とは裏腹に、男の女への熱が一層高まってしまう。
入浴する女と覗き見る男は、西洋美術でも定番。
《月のものぐるひ 文ひろげ》
夫に先立たれ正気を失った女。
思い出の手紙を持ち歩き、五条の橋の上で広げて高らかに読み、沈みて読み、声を上げて泣き悲しみ、何やら独り言を言った後、取り納めて去る。
《朝野川晴雪月 孝女ちか子》
加賀の豪商・銭屋五兵衛(1774-1852)は、河北潟干拓事業を請け負うが、「死魚中毒事故にかこつけた、反対派の中傷による無実の罪で」息子とともに投獄される。
祖父の無実を訴えるため、雪の晩に川に身投げする孫娘。
《源氏夕顔巻》
源氏の恋人・夕顔は、六条御息所の生霊に取り殺される。その幽霊が「夕顔の花」の上に現れる。
《たのしみは夕顔だなのゆふ涼 男はててら女はふたのして》
「楽しみは夕顔棚の夕涼み、男はててら(=襦袢)、(乳飲み子を抱く)女はふたの(二幅/二布=腰巻き)して」
久隅守景の国宝《納涼図屏風》(東博蔵)を思い起こす。
7/29〜8/27開催の「月岡芳年 妖怪百物語」鑑賞時の半券の提示により200円割引となる。