縄文-1万年の美の鼓動
2018年7月3日~9月2日
東京国立博物館
素晴らしい!縄文の造形美。
全207点。うち165点が縄文時代のもの(他、弥生時代8点、外国33点、複製1点)。
国宝土偶全5点のうち2点は7/31からの展示となるが、それ以外の205点は全て通期展示で、展示替えはない。
第一会場は、「抽象的な文様」「日用道具」。
中心は、抽象的な文様の縄文土器。
加えて、アジアからヨーロッパの先史土器を紹介する章がある。
第二会場は、「人物・動物の造形」「祈り」。
中心は、土偶。
加えて、縄文の国宝全6点、火焔型土器1点と土偶5点を1室にまとめて展示する章。ただし、土偶2点は前述のとおり7/31からの展示。
私の鑑賞は、第一会場は1周でひととおり、第二会場は3周してじっくり。会場を出る頃はぐったり。
平成館1階の休憩室の撮影スポット。
推しの国宝土偶のたすきをかけて撮影してね。
これまで国宝土偶については、東博・京博の国宝展や、東博の企画展示、毎年の国宝・重文新指定展などで観る機会はあったが、縄文の造形美をまとまってとなると2009-10年の東博「文化庁海外展 大英博物館帰国記念 国宝 土偶展」以来2回目である。
本展のお気に入りは。
全て。厳選されたのであろう縄文の造形美溢れる展示品全て。
国宝土偶3点の造形美。これまで何度か鑑賞の機会を得たが、何度観ても素晴らしい。360度鑑賞可能でぐるぐる回って観る。
縄文時代の草創期(前11000〜前7000年)、頭部・手足が省略されて胴体に乳房だけが表される土偶、滋賀・東近江市出土および三重・松阪市出土の《土偶》。土偶の章の始まりから、造形が単純な頃から、もう心を奪われてしまっている。その後の造形技術が進んでの土偶はもう何も言えない。
縄文の聖母子像あるいはピエタ像と言えようか、東京・八王子市出土の《子抱き土偶》。横座りした女性、その頭部は失われているものの、乳房があって、その腕には幼い子どもが抱かれている。
小さい子どもの手のひら、足の裏を押し当てて形を写し取った土版、北海道・函館出土および青森・六ヶ所村出土の重文《手形・足形付土製品》。縄文人の存在が直裁的に伝わってくる。
これまで認識が不十分だったこと。
本展の縄文品の殆どが東日本出土のもの。
つまり、縄文時代においては、理由は分からないが、東日本が西日本より圧倒的に人口が多かったということだろうか。そして、西日本に弥生時代が早く来たというか、弥生時代の特徴とされる技術が備わってようやく西日本は多くの人が住める場所になった、ということだろうか。
【本展の縄文品165点が出土した都道府県】
北海道 11
青森 21
岩手 7
宮城 7
秋田 6
山形 3
福島 3
茨城 7
栃木 3
群馬 7
埼玉 11
千葉 11
東京 8
神奈川 6
新潟 6
石川 3
福井 2
山梨 12
長野 21
岐阜 1
愛知 1
三重 1
滋賀 1
奈良 1
広島 1
愛媛 1
福岡 1
鹿児島 1
沖縄 1
会場内片隅に置かれた小さな縄文人の復元模型も楽しい。
制作者の藤森英二氏は、長野県の北相木村考古博物館の学芸員さんらしい。普段同博物館に展示の4点と本展のための新作2点の計6点。
(北相木村考古博物館HPより)
(学芸員さんのブログより)
会場内で、大きなお腹をした妊婦さんの姿を何人もお見かけしたのも印象的。
会場内最後にある撮影コーナー。東博所蔵の4点を、縄文の美の再発見者とされる岡本太郎が撮影した写真とともに。
本展終了後は、パリにて、再構成した内容による「縄文」展を開催する(本年10-12月)とのことである。