日本美術の裏の裏
2020年9月30日〜11月29日
サントリー美術館
《おようのあま絵巻》2巻
室町時代・16世紀
サントリー美術館
一人貧しく暮らす老僧の草庵。
ある日、薬や扇、香などの日用品を商うおよう(御用)の尼と呼ばれる老女が訪れる。お互いの身の上の苦労を語り合った後、身の回りの世話をする若い女性を取り持とうと申し出る。喜ぶ僧。
長らく心待ちにしていると、夜になっておようの尼がやってきて、灯火を暗くして待つように言い置く。やがて現れた女は口もきかないが、僧は上機嫌で一夜をともにする。翌朝傍らを見ると、女はおようの尼その人。おようの尼は呆気にとられる老僧に、身代わりになった言い訳をしたうえで、さらに自分たちが似合いの縁であることをさまざまに口説く。
最終場面に描かれるのは、ともに念仏を唱える老僧とおようの尼。2人のこの後の人生はともに悪くはなかったのではないか、と思わせる。
【前期出品】
女を部屋に招き入れ、盃を交わす老僧。部屋には灯が見え、闇夜のせいで老女に気づいていない様子。
【後期出品】
老僧の家の構造は、一体どうなっているのでしょうか。
部屋の中に灯が見え、今は夜とわかります。
女の来訪に嬉しい老僧は、裸足で門まで迎えに行きます。
手を握っても、老婆とは気づいていないようです。
(参照)サントリー美術館「お伽草子」展図録