東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ピーター・ドイグ《ブロッター》とカラヴァッジョ

2020年03月12日 | 展覧会(現代美術)
東京国立近代美術館は、2/29から3/15まで臨時休館中です。
 
 
ピーター・ドイグ展
2020年2月26日〜6月14日
東京国立近代美術館
 

   彼(ドイグ)は、ゴーギャン、ゴッホ、マティス、ムンクといった近代画家の作品の構図やモチーフ、映画のワンシーンや広告グラフィック、自らが暮らしたカナダやトリニダード・トバゴの風景など、多様なイメージを組み合わせて絵画を制作してきました。

 
《ブロッター》
1993年
リバプール国立美術館  ウォーカー・アート・ギャラリー
 
【キャプションより】
   彼は水面を見つめています。外界を見ているわけですが、彼の直下に水面に映る彼の姿が描かれているために、この作品には内観的な雰囲気が漂っています。水面を鏡に見立てる主題という点では、カラヴァッジョ(1571〜1610年)の《ナルキッソス》(1597〜99年)が思い出されるでしょう。しかし、ドイグの作品は、カラヴァッジョの絵画から受ける自己陶酔の感覚に乏しく感じられます。むしろこの作品における人物は、雪、氷、水という同一物質の異なる状態に囲まれ、視界が遮られたり、自分自身のイメージが反射して見えたり、像が歪んで見えたりするなかで、外界との適切な距離を見失い、結果として主客の区別がつかなくなっているかのようです。
 
 
カラヴァッジョ
《ナルキッソス》
バルベリーニ宮国立古典美術館
 
 
 
 


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