ラファエロ展
2013年3月2日~6月2日
国立西洋美術館
楽しみにしていたラファエロ展。
気になっていたのは。
1:ラファエロの油彩画が何点出品されるのか。
2:目玉の「大公の聖母」の他に、どのような油彩画が出品されるのか。
まず、出品点数について。
HPの事前情報では、「ラファエロ作品約20点」とあった。
この点数は、油彩画以外の素描等も含むという書きぶりだったので、油彩画は最悪10点切るかも、と思っていた。
実際に会場を巡るなかで、懸念していたよりは油彩画があることが分かった。
結局、ラファエロは23点、うち油彩画が18点。
出品作品の所蔵元を確認する。
イタリアが12点、イタリア以外が6点である。
イタリア
(フィレンツェ)ウフィツィ美 3点
(フィレンツェ)パラティーナ美 3点
(ベルガモ)アカデミア・カッラーラ美 1点
(ウルビーノ)マルケ州立国立美 1点
(ナポリ)カポディモンテ美 2点
(ブレーシャ)トジオ・マルティネンゴ絵画館 1点
(ヴァチカン)ヴァチカン美 1点
イタリア以外
(パリ)ルーブル美 2点
(マドリード)プラド美 1点
(ブダペスト)ブダペスト国立西洋美 1点
(ロンドン)ダリッチ美 2点
制作年代を確認する。
ラファエロの年譜を見ると、大きく3つの時代に分けることができる。
ウルビーノ時代:1483~1503年(20歳まで)
フィレンツェ時代:1504~07年(21~24歳)
ローマ時代:1508~1520年(25~37歳)
展覧会の構成も、上記の時代区分に対応しているようである。
(序章 自画像)
1章 画家への一歩
2章 フィレンツェのラファエロ-レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの出会い
3章 ローマのラファエロ-教皇をとりこにした美
4章 ラファエロの後継者たち
章ごとのラファエロ油彩画点数は、次のとおり。
序章:1点(フィレンツェ時代)
1章:7点
2章:7点(+素描3点)
3章:3点(+素描2点)
4章:なし
ウルビーノ時代とフィレンツェ時代が充実していることとなる。
次に出品作品について。
私のお気に入り作品である「大公の聖母」が出品されていることは、非常にうれしい。
個人的ラファエロベスト5を上げると、
・美しき女庭師(ルーブル美)
・バルダッサーレ・カスティリオーネの肖像(ルーブル美)
・小椅子の聖母(パラティーナ美)
・大公の聖母(パラティーナ美)
・アテネの学堂(ヴァチカン宮殿)
所蔵元に随分の偏りがあるのは私の限界。ランクインしている「大公の聖母」が出品されていることは、うれしい。
私が実見した際(20年近く前)は、「大公の聖母」と「小椅子の聖母」は同じ部屋に向かい合わせに展示されていた。
「小椅子の聖母」は、高階秀爾氏の「名画を見る眼 (岩波新書)」に登場するほどの名画。
でも、どっちが好みかと問われると、「大公の聖母」に軍配を上げる。
どうやら背景が真っ黒であることも、私にヒットした模様。
ただし、この背景が真っ黒というのは、後世の加筆であるらしいことは後に知った。
今回の展覧会でも、科学的調査の結果として、「後世に背景の塗りつぶしが行われたこと」、「当初は、部屋と窓と風景が描かれた室内場面であったこと」がパネル説明されている。
久しびりの「大公の聖母」とのご対面。
であったが、将来の混雑を予想して、通常より随分高い位置に展示されていたこと、照明の加減なのか、てかっていたこともあり、現地ほどには近く作品を味わうということはできなかった。
(つづく)