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国宝《那智瀧図》 - 館蔵仏教絵画名品展「美麗なるほとけ」(根津美術館)

2024年08月09日 | 展覧会(日本美術)
美麗なるほとけ
館蔵仏教絵画名品展
2024年7月27日〜8月25日
根津美術館
 
 
根津美術館が所蔵する仏教絵画40点強の展示。
 
お目当ては、国宝《那智瀧図》。
 
国宝《那智瀧図》
鎌倉時代 13世紀
 熊野那智大社の御神体である飛瀧権現、つまり那智の滝のみを描いた異色の「垂迹画」。
 また「山水画」としても、北宋末期の山水画の構図や技法と、日本古来のやまと絵の描き方(画面上部の森)が融合した稀有な作品とのこと。
 昨年(2023年)の東京国立博物館「やまと絵」展以来2年連続3度目の鑑賞。
 本展では、展示室の出口近くの隅にあった「やまと絵」展とは異なり、本来の(?)主役らしい展示位置。猛暑日の午後に拝むならば、癖のある姿のほとけよりも、大自然の滝のほうに手を合わせたくなる。
 
 
那智の滝の動画。
熊野那智大社の公式Twitter(2021年8月15日)より。
 
 
他、特に楽しんだ作品2選。 
 
重文《大日如来像》
平安時代 12世紀
 本展のメインビジュアル。
 この時期の作品としては、圧倒的な保存状態の良さ。色彩が鮮やか。昭和初期まで、平泉・中尊寺の仏像の胎内に納められていたためであるとのこと。目立たないように修復されているが、確かに折り目が多い。
 
 
《兜率天曼荼羅》部分画像
南北朝時代 14世紀
 弥勒菩薩が住まう兜率天宮を斜め構図から描いた大画面の変相図。
 群青や緑青の色彩が鮮やか。
 また、三層の楼閣に住まう弥勒から放たれる金の光は、金泥(絵具で描く)ではなく、截金(金箔を貼る)により描かれているという。直線だけではなく、波打つような光もあるが、截金によりカーブで繊細な線を表現するのはたいへんな技術が必要とのこと。
 
 
 
 館内は、外国人観光客が目立つ。
 入館最終時刻の16:30近くになっても、外国の方がチケット売場に並んでいる。たとえ30分の滞在であっても、観ておくことが重要。
 
 
 根津美術館コレクションの中には、仏画作例が数多く含まれており、しかもそのジャンルは密教系、釈迦・浄土信仰系、仏伝、絵伝、縁起絵、垂迹画、禅宗系、宋元や朝鮮半島からの請来仏画など多岐にわたっています。それらは、日本の私立美術館の中では最高レベルといってよい質と量を誇っています。 
 本展覧会では、当館が所蔵する仏画の中でも、特に美麗な名品や希少性が高い作例などにしぼった、いわばコレクションの粋を展示します。この貴重な機会に、仏画の華やかさや多彩な表現をぜひともご堪能ください。


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