東京でカラヴァッジョ 日記

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「生誕110年 松本竣介」展(神奈川県立近代美術館鎌倉別館)

2022年06月02日 | 展覧会(日本美術)
生誕110年 松本竣介
2022年4月29日〜5月29日
神奈川県立近代美術館鎌倉別館
 
 湘南地域の美術館巡りの3番目かつ最後の訪問先は、神奈川県立近代美術館鎌倉別館。
 
 JR大船駅から鎌倉駅東口行きの江ノ電バスに乗り八幡宮裏で下車。
 鎌倉駅から歩くより、徒歩時間を大幅短縮できる(ただし、大船駅の改札からバス乗り場までは結構歩く)。
 
 神奈川県立近代美術館鎌倉別館に行くのは、初訪問であった2020年2月の「関根正二展」以来。
 その時は、美術館が次々と臨時休館を始め出したが、当館は休館を決定していなかった頃で、係員が開館見通しの問合せ電話への対応に苦慮していた様子が印象に残っている。
 
 今回は「生誕110年 松本竣介」展。
(こちらも駆け込み訪問。会期は既に終了。)
 
 神奈川県立近代美術館コレクションから、松本の油彩・素描25点(1点のみ個人蔵)、および松本が編集者となって手がけた雑誌『雑記帳』(1936.10〜37.12。14号で廃刊)に掲載された31作家による挿画原画31点などが展示される。
 
 私的に特に見たのは、やはり代表作の一つ。
 
松本竣介(1912〜48)
《立てる像》
1942年、162×130cm
神奈川県立近代美術館
 
 静まり返った(煤けた)街に両足を踏ん張って立つ青年像が描かれている。
 背景に描かれた風景は、高田馬場辺りの一隅(目白変電所、ゴミ集積所、三越の染物工場など)といわれている。
 仁王立ちをしながらも、どこか不安げな表情をしたその青年は、暗い時代(前年に太平洋戦争が開戦)に抵抗しつつ(向き合いつつ)画家としての生き方を見つめ直そうとしている等身大の自画像とも見ることができる。
(美術館HP作品解説にカッコ書きで追記補足)
 
 
 小企画として、1992年生まれ(=生誕30年)の作家で、幼い頃から松本に私淑してきたという堀江栞の個展が同時開催。重厚感ある絵画が並ぶ。


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