ナマズが暴れた!?
安政の大地震展
―大災害の過去・現在・未来
2017年4月19日~8月6日
東洋文庫ミュージアム
2011年10月オープンの東洋文庫ミュージアム。今回ようやく初訪問。
2階にある、話題のモリソン書庫は、確かに壮観。
同じく2階の企画展。「日本を中心に世界各地の大災害と復興の歩みを歴史資料から明らかにしていきます」「熊本大地震の発生から1年をむかえるにあたり、困難を乗り越えた先人の声にあらためて耳をかたむけてみましょう」。
以下、挿絵本を主に、印象に残る展示品について、撮影画像と会場内解説(適宜要約)を記載する。
会場風景
1185年「文治地震」
《本朝地震記》
豊時成編、1830年
古代から1819年までの日本で起きた大地震被害を記録した本。挿絵は「文治地震」で、京都の三十三間堂が十七間まで倒れたことが書かれる。この地震は、鴨長明『方丈記』にも記述されている。
1896年「三陸大津波」
《三陸大津波》1896年
1896年6月15日に三陸沖で発生した巨大地震と大津波により、東北3県は甚大な被害を受ける。
展示品は、文京区本郷にあった劇場・春木座の上演予定広告。全4演目のうち一つが「三陸大津波」と題され、津波被害の悲惨さを伝える図が描かれる。上演日が震災の1ヶ月後であることから、東京の人々に惨状を伝えるための舞台であったと考えられる。
1657年「明暦の大火」
《むさしあぶみ》
浅井了意、1661年
明暦の大火の様子を詳細に描いた仮名草子。
1707年「富士山大噴火」
1783年「浅間山大噴火」
左:《富嶽百景》
葛飾北斎、1834年頃
右:《日本風俗図誌》
イサーク・ティツィング、1822刊
《富嶽百景》の展示頁は、1707年、約840年ぶりに起きたという「富士山大噴火」の被害を描く。噴火は2週間続き、火山灰は江戸の町にも届いたという。
オランダ商館長の回想録《日本風俗図誌》の展示頁は、記録に残るだけでも過去20回あった「浅間山噴火」のなかでも、一番被害が大きいとされる1783年の大噴火。
1855年「安政江戸大地震」
《安政見聞誌》
歌川国芳、芳綱ほか画、1855年
安政江戸大地震直後に出版された報道的な意味合いが強い書籍。幕府の許可なしに出版したためすぐに発禁処分になったという。
《安政見聞録》
服部保徳、1856年
安政江戸地震における被災者のエピソードをまとめた書籍。教訓的なエピソードを多くあつめているのが特徴。
1858年「コレラ大流行」
《安政箇労痢流行記》
仮名垣魯文、1858年
江戸時代、1822年、1858年、1862年と3回発生した「コレラ大流行」。1858年の「安政コロリ」は、落ち着くまで3年かかったという。
展示頁は、焼場にて、死者があまりに多くて火葬が追いつかず、棺桶が所狭しと並ぶ様子。
1階でも関連企画として、大災害を記述する世界の書籍が展示される。
書籍の展示は、1冊につき見開き2頁限りの宿命。他の頁も見たいな。