日伊国交樹立150周年特別展
アカデミア美術館所蔵
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
2016年7月13日~10月10日
国立新美術館
ヤコポから始まり、その息子ジェンティーレとジョヴァンニで全盛を迎えるベッリーニ一族。
図録によると、近年、ジョヴァンニはヤコポの息子ではない、とする新説が提示されているらしい。
ヤコポの息子ではなく、ヤコポの年の離れた異母弟だという。ジェンティーレにとっては、弟ではなく叔父。ジョヴァンニのほうが少し年上。
一族の家族関係にそんな疑念が存在していたのかと感心する。
そんなベッリーニ一族からは、ジョヴァンニ作品1点が出品され、出品番号1を担う。
《聖母子(赤い智天使の聖母)》
77×60cm
智天使(ケルビム)は、キリスト教の全9階級とされる厳しい階級制度のなかで第二位に位置付けられる高位の天使。高位なので頭部しか描かれない。それだけでも不気味なのに、赤いのでさらに不気味。6人もいるので、さらにさらに不気味。
図版で見たときには正直期待しないようにしていたが、実物は実に魅力的な作品。
充分に魅力的であるが、ヴェネツィア・ルネサンスにおける画家と一族の重要性を考えると、絵画で構成するヴェネツィア・ルネサンス展覧会という滅多にない貴重な機会としての本展において、1点の出品では物足りない感もある。
で、アカデミア美術館が所蔵する、今回持って来なかったジョヴァンニ作品を確認する。
《眠る幼子イエスを礼拝する玉座の聖母》
120×63cm
《聖母と祝福する幼子イエス》
78×60cm
《双樹の聖母》
74×58cm
《聖会話》
58×107cm
《聖母子と洗礼者聖ヨハネと聖女》
75×84cm
《玉座の聖母子と六聖人(サン・ジョッベ聖堂のための祭壇画)》
471×258cm
《ピエタ》
65×90cm
聖母子像ばかり挙げているが、私の好みだから、ではなく、アカデミア美術館のジョヴァンニ作品は聖母子像が多い。
勿論、聖母子像以外もある。
《運命の寓意》
33×22cm
《賢明の寓意》
34×21cm
次の作品は、助手の手がかなり入っているとされる作品。オルガンの外扉の装飾。2001年開催の「イタリア・ルネサンス 宮廷と都市の文化」展で来日している。
《受胎告知》
各224.5×107cm
ならば次。
次の早い来日を期待するばかりだが、来年1月から東京都美術館で開催予定の「日伊国交樹立150周年記念 ティツィアーノとヴェネツィア派展」ではどうだろう。
主役はティツィアーノ。だか、ヴェネツィア派とある。ベッリーニ一族も対象であればいいなあ。