東京でカラヴァッジョ 日記

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【講演会】グエルチーノとバロック美術(国立西洋美術館)

2015年05月30日 | 展覧会(西洋美術)

【講演会】グエルチーノとバロック美術
宮下規久朗氏
2015年5月17日
国立西洋美術館


 盛り沢山な内容を1.5時間で収めるため、展開がスピーディ、7章だての話だったがその章名もメモしきれないほど。
 レジュメやかろうじてメモに残したことをもとに記載する。


グエルチーノの美術史的位置

1)ボローニャ派の巨匠
 ボローニャ派第2世代。その前後を合わせてもベスト5に入る。

2)盛期バロックの先駆者
 ローマでバロックの潮流を作る。

3)バロック的古典主義の巨匠
 ローマから故郷に戻るのを機に、バロックはやめて、バロック的古典主義へ。

⇒18-19世紀はアカデミズムの権化。
 20世紀後半から注目される(それはカラヴァッジョと同様)
 1992年の生誕400年の回顧展(独、米、伊)で決定的。
 チェントは、グエルチーノの聖地、世界中から人が押し寄せる。


グエルチーノの8割くらいを堪能できる展覧会。(←これはすごいこと)
(以下、本展出品作に対する話から)

1)ラ・カーラチンナ
No.01 ルドヴィコ・カラッチ≪聖家族と聖フランチェスコ、寄進者たち≫
 独学で絵を学んだグエルチーノ。師と言えるのがこのカラッチの祭壇画。
 ラ・カーラチンナ(「大切な乳房」の意のチェント方言)と呼ぶ。
 この絵が同時に来ているのは、すごいこと。
 もう1枚師と言える絵が存在する。
 ルドヴィコ・カラッチ≪聖パウロの回心≫1587-88、ボローニャ国立絵画館蔵。


2)青い色彩の獲得
No,15≪キリストから鍵を受け取る聖ペテロ≫ほか
 グエルチーノ様式を確立。
 空の、美しい青い色彩。グエルチーノの青。


3)敢えて影にした聖母像
No.13≪ロレートの聖母を礼拝するシエナの聖ベルナルディーノと聖フランチェスコ≫
 ロレートの聖母像は、実は黒い木彫像。
 その聖母像を黒く描くのではなく、天使が持ち上げたカーテンの影にする。


4)グラン・マッキア(偉大なる斑点)
No.17≪聖イレネに介抱される聖セバスティアヌス≫
 グエルチーノの特徴、光と影の部分が入り乱れる。


5)手が小さすぎる赤ちゃん
No.26≪聖母と祝福を授ける幼児キリスト≫
 最初は気にならなかったが、指摘されて一度意識すると、どうしても気になる。


6)衣服の襞はバロックの要
No.27≪聖母のもとに現れる復活したキリスト≫
 グエルチーノの一つの到達点。バロックと古典主義の中間点。
 襞はバロックの要。人の感情を表情ではなく、襞で表わす。
 最高傑作の一つ。ゲーテもイタリア紀行で絶賛。


7)遠くから見ても明快
No.41≪説教する洗礼者聖ヨハネ≫
 青い空にくっきり、遠くから見ても明快、安定感、がポイント。
 



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